腫瘍・病理
眼球やその周囲の組織(まぶた・結膜・眼窩など)にも、良性から悪性までさまざまな腫瘍が発生することがあります。このカテゴリでは、発生部位ごとの腫瘍の分類と、良性・悪性の鑑別や病理学的な特徴を扱います。
全69件の疾患
よく参照される疾患
あ行
8件IgG4陽性形質細胞に富む線維炎症性病変が眼窩に発生する全身性疾患。涙腺の無痛性腫脹が最も多く、ステロイドやリツキシマブによる免疫抑制療法が治療の主体である。
アポクリン汗腺由来の良性嚢胞性腫瘍。眼瞼ではMoll腺から発生し、青灰色のドーム状結節として現れる。完全切除で予後良好。
酢酸セルロースフィルターペーパーを眼表面に適用し、表層上皮細胞を採取して解析する低侵襲の検査法。ドライアイ、角膜輪部幹細胞疲弊症、眼表面扁平上皮腫瘍などの診断に広く用いられる。
多発する非定型メラノサイト母斑と皮膚・眼黒色腫のリスク増加を特徴とする疾患。FAMMM症候群を含み、CDKN2A遺伝子変異との関連が知られる。
壊死性黄色肉芽腫(NXG)は非ランゲルハンス細胞組織球症の一種で、眼窩周囲に好発する黄色〜オレンジ色の結節を特徴とし、パラプロテイン血症やリンパ増殖性疾患との強い関連を有する稀な肉芽腫性疾患である。
壊死性筋膜炎は浅筋膜を侵し急速な皮膚壊死に至る重篤な感染症であり、眼窩周囲では8〜15%の死亡率と13.8%の視力喪失率が報告されている。早期の外科的デブリードマンと抗菌薬療法が治療の主軸となる。
眼窩横紋筋肉腫は小児で最も頻度の高い眼窩悪性腫瘍。急速に進行する眼球突出が特徴。手術・化学療法(VAC療法)・放射線療法(2016年より陽子線治療が保険適用)の三者併用が標準治療で、眼窩原発の5年生存率は90%以上である。
眼附属器に発生する良性の好酸性細胞腫(オンコサイトーマ)の症状、診断、病理学的特徴、治療法について解説する。涙丘に最も多く発生し、全切除後の予後は極めて良好である。
か行
28件角結膜デルモイドは先天性の分離腫(choristoma)で輪部に好発する良性腫瘤。Goldenhar症候群との合併に注意し、弱視予防のための早期視力管理と表層角膜移植を併用した手術が標準治療である。
化膿性肉芽腫は霰粒腫や外傷後に好発する反応性の毛細血管増生性病変(lobular capillary hemangioma)。赤色調の有茎性腫瘤として出現し、切除またはステロイド局所投与で治療する。
基底細胞癌(BCC)は表皮の基底細胞層に由来する悪性腫瘍で、眼瞼悪性腫瘍の中で最も頻度が高い。局所浸潤性は強いが遠隔転移は極めて稀であり、外科切除により良好な予後が期待できる。
局所強膜結節(FSN)は強膜から発生する良性の黄白色結節性病変である。かつては脈絡膜炎と考えられていたが、OCTにより強膜起源が判明した。大部分は無症状で経過観察のみで管理される。
結膜悪性黒色腫は結膜メラノサイト由来の悪性腫瘍で、約60-75%がPAMに由来する。ノータッチ・テクニックによる外科的切除と冷凍凝固が治療の基本。BRAF・NF1・NRAS変異が主要ドライバーで、免疫チェックポイント阻害薬の応用が研究段階にある。
結膜悪性リンパ腫はB細胞の単クローン性増殖による悪性腫瘍で、節外性辺縁帯リンパ腫(EMZL / MALTリンパ腫)が最多。サーモンピンク色の結膜腫瘤を特徴とし、放射線療法が限局例の第一選択である。
HPV感染によって結膜に発生するカリフラワー状の良性腫瘍。有茎性が典型的だが無茎性は扁平上皮癌との鑑別が必要。切除後に冷凍凝固を追加することで再発を抑制する。
結膜に発生するメラノサイト由来の腫瘍を包括的に解説する。良性の母斑(nevus)から前がん病変の原発性獲得性メラノーシス(PAM)、悪性の結膜メラノーマまで、分類・診断・治療・予後因子を詳述する。
結膜上皮から発生する良性腫瘍(乳頭腫など)、前癌病変(結膜上皮内腫瘍:CIN)、悪性腫瘍(浸潤性扁平上皮癌:SCC)を包括的に解説する。疫学、臨床所見、診断法、TNM分類、外科的切除・局所化学療法を含む治療法、病態生理について詳述する。
結膜上皮内腫瘍(CIN)は結膜上皮の異形成から上皮内癌までのスペクトラムであり、浸潤性扁平上皮癌(SCC)は基底膜を越えて浸潤する悪性腫瘍である。紫外線曝露が最大のリスク因子で、ノータッチ法による外科的切除と冷凍凝固が第一選択。
結膜母斑は母斑細胞が結膜基底細胞もしくは上皮下で増殖した最も一般的な結膜色素良性腫瘍である。タピオカ様嚢胞が診断の鍵となり、悪性転換リスクは約1%と低い。急速増大や色調変化は悪性化の警告サインである。
ぶどう膜メラノーマの約2%を占める虹彩原発の悪性黒色腫について、診断・遺伝子変異・治療・予後を解説する。脈絡膜・毛様体発生に比べ悪性度が低い傾向がある。
虹彩内に発生する囊胞性病変について、虹彩実質囊胞と虹彩色素上皮囊胞の2型を中心に定義・診断・治療を解説する。
虹彩メラノサイト由来の良性色素性腫瘍について、定義・鑑別診断・経過観察・治療方針を解説する。
全身悪性腫瘍が外眼筋に血行性転移する稀な病態。乳癌・肺癌・皮膚メラノーマなどが原発となり、眼球運動制限や複視を引き起こす。予後不良であり、緩和的治療が中心となる。
眼窩に発生するシュワン細胞由来の稀な良性軟部組織腫瘍。外眼筋(特に下直筋)に好発し、眼球突出や複視を呈する。完全切除が第一選択治療である。
眼窩神経鞘腫はシュワン細胞由来の良性腫瘍で、全眼窩腫瘍の1〜2%を占める稀な疾患である。緩徐に進行する眼球突出を主訴とし、手術による全摘出が標準治療となる。
眼窩メラノーマは眼窩内に発生するメラノサイト由来の悪性腫瘍であり、原発性と二次性に分類される。原発性は全眼窩腫瘍の1%未満と極めて稀で、手術と補助放射線療法が標準治療である。
眼瞼皮膚のメラノサイトから発生する悪性腫瘍。全皮膚黒色腫の1%未満と稀だが、長径7mm以上の色素性病変は専門医への紹介が必要。予後は腫瘍の厚さと病期に大きく依存する。
眼瞼黄色腫(黄色板症)は上眼瞼内眼角部に好発する黄色調の扁平隆起で、脂質を含有した泡沫細胞の集簇により形成される。約50%に脂質異常症を伴い、心血管リスクの指標となりうる。
眼瞼の脂腺(主にマイボーム腺)から発生する悪性度の高い腫瘍。霰粒腫や眼瞼炎に類似し「偉大なる偽装者」と呼ばれる。眼瞼悪性腫瘍中、基底細胞癌に次ぐ頻度。
眼瞼乳頭腫はHPVが関与する良性上皮性腫瘍で、ピンク色のカリフラワー状腫瘤を形成する。有茎性が多いが広基性では扁平上皮癌との鑑別を要する。切除+冷凍凝固が標準治療である。
眼瞼の有棘層から発生する悪性腫瘍。結膜面発生型と皮膚発生型の2型があり、日本では眼瞼悪性腫瘍の約半数を占める。完全切除と術後冷凍凝固が標準治療。
眼瞼の有棘層から発生する悪性腫瘍で、眼瞼悪性腫瘍の中で2番目に多い。紫外線曝露や免疫抑制がリスク因子であり、外科的完全切除が標準治療である。
眼瞼母斑は母斑細胞が増殖した良性腫瘍で、眼瞼良性腫瘍の中で最も頻度が高い。境界母斑・複合母斑・真皮内母斑に分類され、境界母斑・複合母斑は稀に悪性黒色腫へ転化しうるため注意を要する。
原発眼内リンパ腫(PIOL)/ 硝子体網膜リンパ腫(VRL)の診断・治療について、IL-10/IL-6比による診断、MTX硝子体注射の治療成績、CNS進展リスクを含めて解説する。
脈絡膜に生じる限局性(孤立性)の良性血管腫瘍。橙赤色の隆起病変として中年以降に発見され、漿液性網膜剥離による視力低下をきたした場合にPDTやレーザー治療が適応となる。
原発性後天性メラノーシス(PAM)はメラノサイトの異常増殖による後天性の平坦な結膜色素病変。異型を伴うPAMは結膜悪性黒色腫の主要な前駆病変であり、生検による異型の評価と定期的な経過観察が不可欠である。
さ行
8件色素性乾皮症(XP)はDNA修復欠損による常染色体劣性遺伝疾患で、患者の93%に眼科的異常が認められる。畏光・角膜混濁から結膜扁平上皮癌まで多彩な眼症状を呈し、紫外線防御と早期腫瘍検出が管理の要となる。
視神経膠腫(optic pathway glioma)の定義・画像診断・化学療法(カルボプラチン+ビンクリスチン)・NF1との関連・予後について解説する。
視神経鞘髄膜腫(ONSM)の定義・画像診断(tram-track sign)・定位放射線治療を含む管理について解説する。
眼瞼の脂腺(主にマイボーム腺)から発生する稀で悪性度の高い腫瘍。霰粒腫や眼瞼炎に類似し診断が遅れやすいため「偉大なる偽装者」と呼ばれる。
脂漏性角化症は中高年に最も多い眼瞼良性腫瘍であり、老人性疣贅とも呼ばれる。悪性化しないが、基底細胞癌や悪性黒色腫との鑑別が重要で、確定診断には病理組織検査が必須である。
眼周囲の悪性腫瘍(メラノーマ、脂腺癌、有棘細胞癌、メルケル細胞癌など)における微小転移検出のためのセンチネルリンパ節生検の適応、手技、転帰について解説する。
先天性網膜色素上皮肥大(CHRPE)は網膜色素上皮の先天性過誤腫で、通常は良性・無症状である。非定型バリアントは家族性大腸腺腫症(FAP)と関連し、大腸癌の早期スクリーニングマーカーとして重要な役割を担う。
毛様体無色素上皮から発生するまれな眼内腫瘍について、小児に好発する臨床像・網膜芽細胞腫との鑑別・治療方針を解説する。
た行
3件蝶形骨縁から発生する緩徐進行性の髄膜腫で、眼窩・海綿静脈洞への進展により眼球突出や視力障害をきたす。WHO分類に基づくグレード分類、画像診断、手術・放射線療法を中心とした治療法を解説する。
肺癌・乳癌をはじめとする全身悪性腫瘍が脈絡膜へ血行性に転移した病態。黄白色の扁平病変と著明な漿液性網膜剥離を特徴とし、放射線照射と全身化学療法が主な治療選択肢となる。
網膜芽細胞腫に対する選択的眼動脈動注化学療法(IAC)の適応・手技・薬剤・臨床成績と、日本における治療体系の位置づけを解説する。
な行
2件は行
3件眼周囲領域への放射線照射に伴う眼瞼・涙道系・眼窩・角結膜の急性および慢性合併症について、症状・臨床所見・管理法を解説する。
Sturge-Weber症候群にほぼ必発のびまん性脈絡膜血管腫について、「トマトケチャップ眼底」として知られる特徴的眼底所見、緑内障合併の管理、PDT・低線量放射線による治療を解説する。
皮膚および消化管を中心に多発する静脈奇形を特徴とするまれな全身性血管疾患。慢性消化管出血による鉄欠乏性貧血を高頻度に合併し、眼窩・CNSなど多臓器に病変が及ぶことがある。
ま行
13件成人で最も多い原発性眼内悪性腫瘍であるブドウ膜メラノーマのうち、脈絡膜および毛様体から発生する後部ブドウ膜メラノーマについて、診断・治療・予後を解説する。
脈絡膜に異所性骨形成を生じるまれな良性腫瘍。後極部に好発し若年女性にやや多い。CTでの骨と同等の高吸収値が確定診断の決め手となる。脈絡膜新生血管合併時の治療も含めて解説する。
脈絡膜メラノサイト由来の良性色素性病変について、悪性転化リスク因子の評価(TFSOM-UHHD)と経過観察の方針を解説する。
ミュア・トール症候群(MTS)はリンチ症候群の亜型で、皮膚脂腺腫瘍と内臓悪性腫瘍を合併する常染色体顕性遺伝疾患である。DNAミスマッチ修復遺伝子の変異が原因で、早期診断と多臓器サーベイランスが重要となる。
眼窩腫瘍摘出術のアプローチ(前方・側方・経頭蓋・経副鼻腔)と疾患別の手術方針。良性腫瘍では被膜を破らぬ全摘出が原則。悪性リンパ腫では生検後の後療法、腺癌・腺様囊胞癌では眼窩内容除去術を選択。補助療法として放射線・重粒子線・化学療法を組み合わせる。
眼腫瘍に用いられる放射線治療の種類と疾患別の照射量。外照射(30〜70Gy)・定位放射線治療・陽子線治療(2016年横紋筋肉腫に保険適用)・重粒子線治療(腺様囊胞癌・ぶどう膜黒色腫)・プラーク療法(¹⁰⁶Ru/¹²⁵I)の特徴と副作用を概説する。
メルケル細胞に由来する稀で悪性度の高い神経内分泌腫瘍。頭頸部に好発し、5〜10%が眼瞼に発生する。急速に増殖しリンパ行性転移を生じやすい。
網膜・網膜色素上皮複合過誤腫(CHRRPE)は、網膜とRPEのグリア・血管・色素上皮から構成される稀な良性腫瘍で、主に小児の乳頭傍・黄斑部に発生し、視力低下や斜視を引き起こす。
網膜海綿状血管腫(retinal cavernous hemangioma)は低流量静脈性の血管奇形であり、通常は非進行性である。臨床所見・鑑別診断・管理について解説する。
結節性硬化症に伴う網膜星細胞過誤腫(retinal astrocytic hamartoma)の定義・臨床所見・診断・治療・予後について解説する。
VHL病に伴う網膜毛細血管腫(網膜血管芽腫)の診断・治療・サーベイランスについて、VHL病診療の手引き(2024年版)を含む最新知見とともに解説する。
乳幼児の網膜に発生する悪性腫瘍。RB1遺伝子変異が原因で、日本では年間70〜80名が発症する。白色瞳孔が最多の初発症状。先進国での5年生存率は95%以上。遺伝性の場合は二次がんリスクがある。
ぶどう膜メラノーマの約7%を占める毛様体原発の悪性黒色腫について、透光性検査を含む診断・鑑別と治療方針を解説する。
ら行
4件良性分葉状内顆粒層増殖(BLIPs)は、網膜の内顆粒層から発生する新しい良性網膜内腫瘍であり、網膜色素上皮先天肥大(CHRPE)を伴うことがある。2022年に初めて報告された極めてまれな疾患で、介入は不要とされる。
涙腺に発生する腫瘍の種類、症状、診断法、治療法について解説。多形腺腫(涙腺上皮性腫瘍の約70%)や腺様嚢胞癌などの上皮性腫瘍から悪性リンパ腫まで、分類ごとの特徴と管理方針を概説する。
涙腺に発生する稀な悪性上皮性腫瘍で、神経周囲浸潤と遠隔転移を高頻度に伴う。手術と放射線療法の併用が標準治療であるが、10年生存率20〜30%と長期予後は不良である。
涙嚢に発生する良性・悪性腫瘍の総称。上皮性腫瘍が最多で、約55%が悪性。慢性涙嚢炎と誤診されやすく、診断遅延が予後不良につながる。