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腫瘍・病理

網膜毛細血管腫(フォン・ヒッペル・リンドウ病)

1. 網膜毛細血管腫(フォン・ヒッペル・リンドウ病)とは

Section titled “1. 網膜毛細血管腫(フォン・ヒッペル・リンドウ病)とは”

網膜毛細血管腫(retinal capillary hemangioma)は、若年者の網膜もしくは視神経乳頭に生じる橙色の良性腫瘍である。脳血管芽腫と病理学的相同性があるため、近年では網膜血管芽腫(retinal hemangioblastoma)とも呼ばれる。単発性/多発性、片眼性/両眼性、孤発性/症候性に生じる。

孤発性に網膜血管芽腫のみが生じた場合をVon Hippel病と呼称する。全身性腫瘍症候群を伴う場合はVHL病(von Hippel-Lindau病)と診断される。日本眼科学会の用語集ではVHL診療の手引き(2024年版)に準拠し「網膜血管腫」と記載されているが、本記事では一般的な呼称として「網膜毛細血管腫」を用いる。

VHL病は、癌抑制遺伝子であるVHL遺伝子(3p25-26)の変異を原因とする常染色体顕性遺伝の遺伝性腫瘍症候群である。頻度は3万6千人に1人とされる。VHL病では網膜血管腫のほか、小脳・延髄・橋・脊髄の血管芽腫、腎細胞癌、褐色細胞腫、腹部臓器(膵・腎・副腎)の嚢胞など多臓器に病変を合併する。生命予後は全身病変の管理にも依存するため、多診療科連携が必須である。

Q VHL病が疑われるのはどのような場合か?
A

VHL診療の手引き(2024年版)による診断基準では、家族歴がある場合は血管芽腫・網膜血管腫など1病変以上で診断される1)。家族歴がない場合は、2病変以上(血管芽腫または網膜血管腫を含む)、もしくはVHL遺伝子変異の確認+1病変で診断される。若年者の孤発性網膜血管腫ではVHL病の可能性を考え、全身検索と遺伝学的検査を検討する。10歳未満の単発例ではVHL病である確率が約45%と報告されている。13)

網膜周辺部の橙赤色腫瘤と蛇行・拡張した流入動脈および流出静脈

Guo J, Du L, Zhou P, et al. Combined therapy guided by multimodal imaging of fifteen retinal capillary hemangioblastomas in a monocular Von Hippel- Lindau syndrome case report. BMC Ophthalmol. 2022;22(1):205. Figure 4. PMID: 35524216; PMCID: PMC9074324; DOI: 10.1186/s12886-022-02409-8. License: CC BY 4.0. License URL: https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/.
周辺部網膜に認められる典型的な橙赤色の網膜毛細血管腫と、著明に拡張・蛇行した栄養血管(流入動脈・流出静脈)、および冷凍凝固術後の腫瘍退縮の経過を示す眼底写真である。本文「2. 主な症状と臨床所見」の項で扱う眼底所見に対応する。

網膜血管芽腫は発生様式と部位によって以下のように分類される。

周辺部型

頻度:多くを占める典型的な病型。

眼底所見:眼底周辺部に橙赤色円形の腫瘤を形成。著明に拡張・蛇行した流入動脈と流出静脈を伴う。

進行:毛細血管瘤→腫瘍の明確化→滲出性変化→滲出性網膜剥離→線維増殖と段階的に進行する。

視神経乳頭型

頻度:全体の約15%。

眼底所見:視神経乳頭近傍に発生。流入・流出血管の同定が困難なことが多い。

予後:視神経・黄斑に近く、治療による組織障害にも注意を要する。治療法は未確立である。13) 傍乳頭型毛細血管腫72眼(68例)を検討した報告では、初診時に矯正視力20/200以上であったのは70眼中60眼(86%)だったのに対し、追跡できた60眼のうち平均5.4年後に20/200以上を保てたのは33眼(55%)にとどまった17)。

初期は無症状のことが多い。病変が進行すると以下の症状が出現する。

  • 視力低下:黄斑に浮腫、輪状硬性白斑、滲出性網膜剥離が及んだ際に顕著となる。
  • 飛蚊症・光視症:比較的早期から認められることがある。
  • 視野欠損:周辺部の病変では周辺視野から障害される。

出血は稀であるが、進行例では硝子体出血が生じることもある。

眼底所見として、孤立性または多発性の円形網膜腫瘤が特徴的である。周辺部のものは拡張・蛇行した流入・流出血管を伴い、病変は通常30歳までに出現する。約半数が両眼性であり、多発性に眼底のさまざまな部位に生じることもある。

腫瘤自体は毛細血管と泡沫状間質細胞から構成される血管芽細胞腫であり、多量のVEGF(血管内皮増殖因子)を産生する。VEGFにより滲出性網膜剥離が生じ、視力低下をきたす。

蛍光眼底造影では特徴的な3段階の変化が認められる。

  • 早期:明瞭な流入血管が描出される。
  • 中期:腫瘍内が過蛍光となり、流出血管が造影される。
  • 後期:旺盛な蛍光漏出がみられ、網膜剥離に一致した蛍光貯留が生じる。

進行すると以下の重篤な病態に移行する。

  • 牽引性網膜剥離:線維増殖による黄斑上膜・牽引
  • 血管新生緑内障:末期合併症。眼圧上昇・眼痛を伴う。
  • 著明な結膜・上強膜血管拡張:極めて進行した症例では右眼NLP・眼圧45mmHgに及ぶ場合の報告もある2)。

広角眼底撮影やOCT血管造影(OCTA)は、病変の評価と経過観察に有用である1)。OCTでは腫瘤の形態、網膜下液の有無、黄斑浮腫の評価が可能である。

VHL病の頻度は3万6千人に1人である。厚生労働科学研究のナショナルデータベース解析では、本邦のVHL病有病者数は1,448人と報告された16)。VHL患者における網膜血管腫の発症頻度は40〜70%であり、平均発症年齢は25歳とされる1)。

  • 発症年齢分布:10〜40歳代が好発。10歳未満での発症は約5%。
  • 両眼性:約半数が両眼性を呈する。
  • 多発性:同一眼内に複数の腫瘍が生じることもある。
  • 孤発例のVHL関連リスク:10歳未満の単発性網膜血管芽腫では、VHL病である確率が約45%と報告されている。13)

VHL遺伝子は常染色体顕性遺伝(旧称:常染色体優性遺伝)の形式をとる。VHL遺伝子変異が一方のアレルに生殖細胞系列変異(1st hit)として存在し、体細胞での2nd hitにより腫瘍抑制機能が失われる(2-hit仮説)。

遺伝学的リスク因子として、VHL遺伝子の病原性変異を保有する家系では全員にサーベイランスが必要であり、40歳未満の網膜血管腫症例にはVHL遺伝子検査の適応を考慮する1)。

VHL診療の手引き(2024年版)に基づく診断基準は以下の通りである1)。

状況診断基準
家族歴あり血管芽腫・網膜血管腫など1病変以上
家族歴なし2病変以上(血管芽腫/網膜血管腫含む)またはVHL遺伝子変異+1病変

眼底検査において、周辺部の橙赤色腫瘤と拡張・蛇行した流入・流出血管の組み合わせが特徴的である。以下の検査を組み合わせて評価する。

  • 広角眼底撮影:周辺部病変の全体像把握に有用。
  • 蛍光眼底造影(FA):腫瘍の同定と活動性評価。早期からの旺盛な蛍光漏出が診断の根拠となる。
  • OCT/OCTA:腫瘍の形態評価、黄斑浮腫・網膜下液の定量化。
  • 超音波検査(Bモード):充実性腫瘤の確認と網膜剥離の評価。

VHLと診断された親をもつ児では0歳から眼科サーベイランスを開始し、少なくとも年1回、両眼の散瞳下細隙灯検査と倒像鏡による眼底検査を行う。広角眼底撮影は補助的に併用する1)。

VHL病では網膜以外の臓器に複数の病変が生じうるため、多職種による定期的な全身検索が必要である。1)8)

  • 頭部・脳MRI:小脳・脳幹など中枢神経系病変のスクリーニング。
  • 脊髄MRI:脊髄血管芽腫のスクリーニング。
  • 腹部超音波・CT/MRI:腎細胞癌、膵・腎・副腎嚢胞の検索。
  • 褐色細胞腫スクリーニング:尿中カテコールアミン代謝産物の測定。
  • 検査の開始年齢と間隔は臓器・病変リスクによって異なるため、VHL診療の手引きに沿って個別に計画する。手引き(2024年版)が示す目安として、中枢神経系は11歳以上で造影頭部・全脊髄MRIを考慮し、血管芽腫を認めなければ1〜2年ごと、腎細胞癌は15歳から年1回(超音波と単純MRIを交互に)などがある。褐色細胞腫を含む他臓器の開始年齢・間隔も手引きの表に従い、各診療科で個別に計画する。1)

臓器別のサーベイランスは、対象病変ごとに開始年齢・検査法・間隔が異なる。日本ではVHL診療の手引き(2024年版)を基に各診療科で計画し、眼科的サーベイランスは出生直後(0歳)から開始する。1) 国際的なプロトコールとは開始年齢が異なる場合があるため、表の数値だけを自己判断で適用しない。

VHL遺伝子検査は、40歳未満の孤発性網膜血管腫症例や、VHL病が疑われる患者・その家族に適応される1)。遺伝カウンセリングと並行して実施することが望ましい。

以下の疾患との鑑別が必要である。

  • Coats病:男児に多い。流入・流出血管の拡張蛇行は認めないが、硬性白斑と滲出性網膜剥離を伴う。
  • Wyburn-Mason症候群(蔓状血管腫):網膜と脳の動静脈奇形を合併する。
  • 脈絡膜血管腫:橙赤色病変だが、VHL病の全身合併症を伴わない。
  • 網膜血管増殖性腫瘍(vasoproliferative tumor):下方周辺部に好発。二次性変化と区別する。
Q 網膜血管腫の眼底所見はどこで見つかるか?
A

周辺部型は眼底周辺部に多く生じるため、散瞳下での詳細な眼底検査が必要である。初期の小さな腫瘍は毛細血管瘤様の外観を呈することもあり、広角眼底撮影を活用することで見落としを防ぐことができる。視神経乳頭型は乳頭周囲の腫瘤として出現し、流入・流出血管の同定が困難なことが多い。

血管腫の位置・大きさ・滲出性変化の程度に応じて治療法を選択する。視機能を損なわずに焼灼できる病変はレーザー光凝固や冷凍凝固の対象となり、治療自体の危険が高い病変では観察または非焼灼治療を検討する。12)13)

レーザー光凝固

適応:周辺部にあり、視機能を損なわずに直接焼灼できる小病変で検討する。13)

方法:血管腫を直接凝固し、反応を確認しながら必要に応じて追加治療する。病変の大きさ、位置、滲出の程度で適応を判断する。1)13)

照射条件:装置、病変径、色調、反応に応じて眼腫瘍を扱う医師が設定する。複数回の施行を要することがある。3)

限界:大型病変や滲出を伴う病変では、複数回治療や別の治療法が必要となることがある。

冷凍凝固

適応:大型病変や、レーザー光凝固の到達が困難な症例。

方法:血管腫の大きさや突出の程度に応じて冷凍凝固を選択する。

滲出性変化合併時:網膜下液排液・ジアテルミーなどを併施するが難治である。

牽引性網膜剥離:線維増殖が進行し牽引性網膜剥離をきたした場合には硝子体手術を施行する。大型腫瘍や滲出性網膜剥離を合併した症例では、単純なレーザーでは不十分であり、硝子体切除術を含む外科的治療が必要となる。

Bhendeら(2022)は、2年前に両眼へ経瞳孔温熱療法(TTT)を受けた40歳男性の両眼性網膜血管芽腫を報告した。今回、牽引性・滲出性網膜剥離を伴う左眼には硝子体切除術・腫瘍切除・シリコーンオイル填充を行い、術後矯正視力は6/36であった。右眼には追加の単回TTTを行い、蛍光眼底造影で漏出の減少が認められた11)。

PDT・抗VEGF療法:光線力学的療法(PDT)や抗VEGF薬は、焼灼が難しい病変や滲出性変化に対して検討されることがあるが、反応は一定せず、症例ごとの判断が必要である。4)13)

視神経乳頭型は治療法が未確立である1)。レーザー光凝固は視神経・黄斑障害のリスクが高く、適応の判断が特に慎重に求められる。以下の治療法が症例報告レベルで報告されているが、いずれも標準治療としては確立されていない。

  • 抗VEGF薬硝子体内注射:滲出性変化の抑制効果が期待されるが、腫瘍縮小効果は限定的。
  • PDT(光線力学的療法):腫瘍への選択的な光線照射。4)
  • 陽子線治療:腫瘍の進行抑制が報告されている一方、視力予後は不良であり、限定的な選択肢である。5)

介入タイミングの慎重な判断が必要であり、専門施設での多職種カンファレンスが推奨される。

治療後も再発・新病変が出現しうるため、生涯にわたる経過観察が必要である。局所治療後は反応を確認して追加治療の要否を判断し、その後も全周の眼底を評価する。13)

VHL病の生命予後には腎細胞癌・中枢神経系血管芽腫の管理が重要である。脳神経外科・泌尿器科・内分泌科等との多診療科連携のもと、各臓器病変に対して適切なサーベイランスと介入を行う。

6. 病態生理学・詳細な発症機序

Section titled “6. 病態生理学・詳細な発症機序”

VHL遺伝子は染色体3p25-26に位置する癌抑制遺伝子であり、E3ユビキチンリガーゼ複合体の構成成分であるpVHL蛋白をコードする。pVHL蛋白の主な機能は低酸素誘導因子(HIF)α鎖のユビキチン化・プロテアソーム分解である。

正常条件下では、HIFαはpVHLにより認識されてユビキチン化され、速やかに分解される。VHL遺伝子が不活性化されるとpVHL機能が失われ、HIFαが蓄積する。

VHL病では生殖細胞系列変異(1st hit)に加え、体細胞での2nd hit(LOH: heterozygosity の喪失など)によってVHL遺伝子機能が完全に喪失し、腫瘍が形成される。

HIFαが核内に蓄積すると、VEGF・PDGF・EPOなど多数の血管新生・細胞増殖関連遺伝子の転写が恒常的に活性化される。VHL病ではHIF-2α(EPAS1)が主要なdriverとして機能する1)。

網膜血管芽腫は2種類の細胞で構成される。

  • 泡沫状間質細胞:脂肪に富み、VEGFをはじめとする多量のサイトカインを産生する。
  • 毛細血管:間質細胞が産生するVEGFにより二次的に誘導される。

この間質細胞が腫瘍の本体であり、VEGFの恒常的産生が腫瘍の血管増生と滲出性網膜剥離の直接的原因となる。VHL遺伝子変異によりHIFが酸素分圧に依存せず恒常的に活性化した「疑似低酸素状態(pseudohypoxia)」を呈することが、腫瘍形成の分子的背景である。

ソマトスタチン受容体(SSTR)発現

Section titled “ソマトスタチン受容体(SSTR)発現”

VHL関連血管芽腫はソマトスタチン受容体(SSTR)を高発現することが報告されている。9標本の解析ではSSTR4が100%、SSTR1/2/5が89%の標本に発現していた10)。この特性は、後述する68Ga-DOTATOC PET-CTによる画像診断や、ソマトスタチンアナログ療法の分子標的として検討されている。

VHL遺伝子の変異型と臨床表現型の関連(Type 1: 非褐色細胞腫型、Type 2: 褐色細胞腫合併型など)は一部知られているが、詳細な型分類と眼病変の頻度差については今後のさらなる解析が待たれる。

belzutifanはHIF-2αを選択的に阻害する低分子化合物である。日本の添付文書では「フォン・ヒッペル・リンドウ病関連腫瘍」が効能・効果に含まれ、通常の成人用量は120 mgを1日1回経口投与とされる。貧血、低酸素症などの重要な副作用と妊娠に関する注意があり、投与は適応と安全性を評価したうえで行う。14)

第2相試験(LITESPARK-004)では、評価可能な網膜血管芽腫16眼すべてに改善が報告された。ただし「改善」は研究者による眼底画像評価であり、全例の腫瘍消失や、網膜病変に対する局所治療の代替を意味しない。7) 日本眼科学会も、網膜病変に対する新たな選択肢となる可能性に言及する一方、現時点ではレーザー光凝固や冷凍凝固などの局所治療が第一選択であるとしている。15)

Ercanbrackら(2024)は、belzutifan投与を受けた網膜血管芽腫3例を報告した。第1例では4か月の投与で腫瘍面積が2.1 mm²から1.4 mm²へ縮小した後、貧血と呼吸困難のため中止された。その後に複数回のレーザー治療を受け、初診21か月時点でほぼ完全な線維化が確認された。別の症例では腫瘍面積が10.3 mm²から5.5 mm²へ約7か月で縮小した。少数例の報告であり、効果や投与期間を一般化することはできない9)。

光線力学的療法(PDT)は周辺部・視神経乳頭型いずれの病型にも適応が報告されている。

di Nicolaら(2022)は、網膜血管芽腫に対するPDT療法の有効性を報告し、特に傍視神経乳頭型への適用可能性を示した4)。 Schmidt-ErfurthらはPDTの視神経乳頭型への適用可能性と合併症リスクを評価した6)。

Hussainらの症例集積では、陽子線治療後に多くの眼で腫瘍進行は安定した一方、視力転帰は不良であった。治療困難例の限定的な選択肢であり、標準治療とは位置づけられていない。5)

抗VEGF薬は滲出性変化の補助的な抑制を目的に検討されることがあるが、腫瘍自体への反応は一定せず、プロトコールも確立されていない。13)

血管芽腫がソマトスタチン受容体(SSTR)を高発現することを背景に、ソマトスタチンアナログによる治療の可能性が検討されている。ランレオチド(lanreotide)120 mgを28日間隔で皮下注射した治療報告がある。

Braboら(2024)は、ランレオチド投与を受けたVHL病患者1例で、68Ga-DOTATOC PET-CTのSUVmaxが15.6から4.8へ低下し、画像上の腫瘍径は安定していたと報告した。単一症例の所見であり、有効性を示す比較試験ではない。10)

ソマトスタチンアナログによる治療は単一症例など少数の報告にとどまり、有効性は確立されていない10)。

68Ga-DOTATOC PET-CTは、腫瘍のSSTR発現を利用する機能的画像診断である。VHL病患者1例の治療経過評価に用いられた報告はあるが、VHL病の標準的な全身サーベイランス検査としての有用性は確立されていない。10)

Q belzutifanは日本で使用可能か?
A

belzutifan(販売名ウェリレグ)は日本で承認され、添付文書の効能・効果には「フォン・ヒッペル・リンドウ病関連腫瘍」が含まれる。網膜血管腫だけを理由に全身投与を開始するかは、局所治療の可否、全身病変、貧血や低酸素症などの安全性を含め、VHL診療に精通した医師が判断する。14)15)

Q 網膜血管腫を治療しないとどうなるか?
A

血管腫が増大すると難治となり、視機能予後が著しく悪化する。滲出性網膜剥離が黄斑に及ぶと視力低下が不可逆となる可能性が高く、牽引性網膜剥離・血管新生緑内障へと進行すれば最終的に失明に至る。VHL病では新たな病変が生涯にわたり出現するため、治療と並行して継続的な眼底検査が欠かせない。

  1. VHL病診療の手引き(2024年版). 厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業 VHL病研究班. 2024. https://www.vhl-japan.com/wp-content/uploads/2024/04/vhl-japan_guideline2024.pdf
  2. Lin H, Lin X. Pronounced Conjunctival Vascular Engorgement in Von Hippel-Lindau Syndrome. Ophthalmology. 2025;132(4):e70. doi:10.1016/j.ophtha.2024.06.008. PMID:38970570.
  3. Krivosic V, Kamami-Levy C, Jacob J, Richard S, Tadayoni R, Gaudric A.. Laser Photocoagulation for Peripheral Retinal Capillary Hemangioblastoma in von Hippel-Lindau Disease. Ophthalmol Retina. 2017;1(1):59-67. doi:10.1016/j.oret.2016.08.004. PMID:31047395.
  4. Di Nicola M, Williams BK Jr, Hua J, Bekerman VP, Mashayekhi A, Shields JA, Shields CL. Photodynamic Therapy for Retinal Hemangioblastoma: Treatment Outcomes of 17 Consecutive Patients. Ophthalmology. Retina. 2022;6(1):80-88. doi:10.1016/j.oret.2021.04.007. PMID:33892136.
  5. Hussain RN, Hassan S, Ho V. Proton beam radiotherapy (PBR) for the treatment of retinal capillary haemangioblastoma stabilises tumour progression but with poor visual outcomes. Eye (Lond). 2019;33(7):1188-1190. doi:10.1038/s41433-019-0377-3. PMID:30792524; PMCID:PMC6707222.
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