非活動性(大部分)
境界明瞭な黄白色病変:輪郭が明確で安定した外観を呈する。
オレンジ色のハロー:病変周囲を囲む橙色の境界が特徴的で、部分的な脈絡膜菲薄化を反映する1)。

局所強膜結節は、強膜内に起源を持つ黄白色の隆起した円形の非腫瘍性病変である。典型的には赤道部後方に位置し、直上の脈絡膜が菲薄化することで眼底から黄白色の病変として観察される。
命名の歴史は以下の通りである。
発症年齢は3〜83歳と幅広く、女性・白人に多い可能性がある。約1/3の患者が診断時に無症状である2)。
光干渉断層計の登場以前は病変が脈絡膜由来と考えられていた。強調深度イメージング光干渉断層計・掃引光源光干渉断層計により強膜内起源が確認され、脈絡膜の変化は病変による機械的圧迫に続発する菲薄化であることが判明し、2020年に改名された。
大部分の局所強膜結節は無症状であり、ルーチン眼底検査で偶然発見される。症状がある場合は以下が多い。
眼底では隆起した黄色〜黄白色の網膜下病変として観察される。病変は赤道部後方、視神経乳頭近傍に多く、サイズは概ね1乳頭径程度である。活動性病変と非活動性病変で所見が異なる。
非活動性(大部分)
境界明瞭な黄白色病変:輪郭が明確で安定した外観を呈する。
オレンジ色のハロー:病変周囲を囲む橙色の境界が特徴的で、部分的な脈絡膜菲薄化を反映する1)。
活動性
くすんだ黄色で境界不明瞭:非活動性と比べて輪郭が不鮮明となる。
限局的網膜下液:黄色の網膜内滲出、網膜血管拡張、局所的網膜出血を伴うことがある1)2)。
年齢による形態差も報告されている。若年者では結節状(nodular)や火山状(volcanic)の突出性病変が多く、高齢者ではドーム状(dome-shaped)が典型的である。持続的な結節状・火山状の病変は慢性的な機械的圧迫により液体貯留や網膜色素上皮・網膜の萎縮を来しやすい1)。
大部分は無症状であり、視力への直接的影響は限定的である。症状がある場合も飛蚊症・霧視が主であり、視力低下は稀である。ただし、詳細は「主な症状と臨床所見」の項を参照。
局所強膜結節の病因は不明である。以下のいくつかの仮説が存在するが、確立されたリスク因子はない。
臨床診察とマルチモーダルイメージングの組み合わせで診断する。光干渉断層計による強膜起源の確認が最重要である。
各検査法の所見を以下に示す。
| 検査法 | 特徴的所見 |
|---|---|
| 強調深度イメージング光干渉断層計 / 掃引光源光干渉断層計 | 均一な高反射の強膜内結節、脈絡膜圧迫・菲薄化 |
| 光干渉断層血管造影 | 無血管(avascular)、脈絡膜血流欠損 |
| 眼底自発蛍光 | 高自己蛍光(hyperautofluorescence) |
| Bモード超音波 | 音響的充実(acoustically solid)、石灰化なし |
| 蛍光眼底造影 | 早期低蛍光、後期強膜染色 |
各検査の詳細を以下に示す。
以下の疾患との鑑別が必要である。誤診・過剰治療のリスクがあり、臨床的記載以前は無色素性メラノーマ・転移・骨腫・網膜芽細胞腫と誤診され、不必要な治療がなされることがあった1)。
全身検査として感染症(梅毒・結核・ライム病・バルトネラ・トキソカラ・トキソプラズマ)と炎症性疾患(サルコイドーシス・多発血管炎性肉芽腫症)の除外が必要である1)2)。
無色素性脈絡膜メラノーマ・脈絡膜転移・脈絡膜骨腫・網膜芽細胞腫と誤診されうる。光干渉断層計による強膜起源の確認が最重要であり、全身検査による悪性疾患の除外が必須である。
大部分の局所強膜結節は治療不要の良性疾患であり、機能的影響も限定的である。最も重要な管理のポイントは、類似した外観を呈する悪性病変(無色素性脈絡膜メラノーマ・脈絡膜転移など)を正確に除外することである。
非活動性病変
経過観察のみ:定期的なモニタリングを行う。積極的な介入は不要である。
活動性病変
慎重な経過観察も選択肢:18歳男性例では無治療で6週間の経過で不活化し、網膜下液の消退とオレンジ色ハローの出現が認められた2)。
全身性ステロイド:試行的に提案されているが、有効性を示すエビデンスはほとんどない。
Shieldsらの60症例の後方視的研究では、6か月〜25年(平均24か月)の追跡において安定60%・改善37%・再発3%という経過が報告されている2)。ただし27%が先行治療を受けており、活動性・非活動性の層別化はされていない。
まれな多発性一過性白点症候群の合併例では、メチルプレドニゾロン静注80mg×3日後にプレドニゾン経口40mgを漸減するレジメンが試行された。11週後に最高矯正視力は20/20に回復し多発性一過性白点症候群の所見も消失したが、自然軽快との区別は困難である1)。
局所強膜結節は良性疾患であり、ほとんどの場合は経過観察のみで対応する。活動性病変でも無治療で不活化した報告があり、手術適応はない。悪性疾患との鑑別が完了していれば、侵襲的な処置は不要である。
局所強膜結節の解剖学的起源は強調深度イメージング光干渉断層計・掃引光源光干渉断層計により強膜内に位置することが確認されている。以前は脈絡膜炎と考えられていたが、脈絡膜の関与は二次的な圧迫による菲薄化であることが明らかになった3)。
病変による機械的圧迫が引き起こす変化の連鎖は以下の通りである。
多発性一過性白点症候群(multiple evanescent white dot syndrome, MEWDS)の二次発症の機序に関しては、局所強膜結節の頂部の網膜色素上皮障害により網膜抗原が露出し、これが免疫応答を惹起して多発性一過性白点症候群様の反応をもたらすという仮説がSawutら(2025)によって提唱されている1)。網膜色素上皮破壊による網膜抗原暴露が多発性一過性白点症候群の基礎機序であるとする既報と一致する考え方である。
病理組織学的には十分に解明されていない。Fengら(2021)は炎症性肉芽腫反応と記載しており2)、今後のさらなる調査が求められている。
局所強膜結節の疾患概念は近年急速に拡大しており、以下の知見が蓄積されつつある。
Sawutら(2025)は局所強膜結節に二次的な多発性一過性白点症候群が合併した世界初の症例を報告した1)。局所強膜結節による網膜色素上皮障害が多発性一過性白点症候群の発症トリガーとなる可能性を示唆し、局所強膜結節の合併症スペクトルの広がりを示すものである。
近年の主要報告を以下に示す。
| 著者・年 | 知見 |
|---|---|
| Fung & Li(2024) | 局所強膜結節の経過中の成長を報告1) |
| Park(2023) | 双焦点(bifocal)の局所強膜結節を報告、スペクトルの拡大を示唆1) |
| Yamashita ら(2022) | レーザースペックルフローグラフィの所見を報告1) |
| Stephenson ら(2024) | マルチモーダルイメージングとPD-OCT解析を報告1) |
長期経過に関しては、大部分の局所強膜結節の病変が安定して経過するが、増大する例や限局性脈絡膜陥凹(focal choroidal excavation)へ退縮する例も報告されている1)。命名論争については、「focal scleral nodule」(Fung 2020)と「idiopathic scleroma」(Duignan 2021)が競合しているが、現時点では局所強膜結節(FSN)が広く使用されている1)。