若年開放隅角緑内障(juvenile open-angle glaucoma: JOAG)は、原発小児緑内障 の一型であり、4歳以降に発症する開放隅角緑内障 である5) 。眼球拡大を伴わず、先天性の眼形成異常や全身疾患を合併しない5) 。
従来「遅発型発達緑内障 (late onset developmental glaucoma)」あるいは「若年型原発開放隅角緑内障 」と呼ばれていた病型に相当する。隅角 および線維柱帯 の発達異常が軽度であるため発症時期が遅れ、成人の原発開放隅角緑内障 と類似した発症様式・経過をたどる。
緑内障 診療ガイドライン第5版では小児緑内障 を原発と続発に大別し、原発小児緑内障 のうち強度の隅角 形成異常による眼球拡大(牛眼)を伴うものを原発先天緑内障 (PCG)、軽度の隅角 形成異常で眼球拡大を来さないものをJOAGと分類している5) 。
推定有病率は4〜20歳で10万人あたり0.38〜2人と稀である3) 。オーストラリア・ニュージーランドの大規模レジストリ(ANZRAG)では、小児緑内障 290名中JOAGは56名(19.3%)を占め、PCG(57.6%)に次ぐ頻度であった1) 。早期発症緑内障 (18〜40歳未満)ではJOAGが最多で、370名中271名(73.2%)を占める1) 。
発症年齢 : 小児JOAGの診断年齢中央値は14歳(IQR 12〜16歳)1)
両眼性 : JOAGの94.6%が両眼性であり、PCG(83.6%)より高率である1)
性差 : 小児JOAGでは男性50.0%で明確な性差を認めない1)
家族歴 : JOAGの64.4%に緑内障 の家族歴があり、PCGの35.7%と比較して有意に高い(P=0.007)1)
成人の原発開放隅角緑内障 との比較では、以下の特徴を有する:
眼圧 がしばしば40 mmHgを超え、50 mmHg以上に達することもある3) 4)
進行が速い
薬物療法に抵抗性で手術を要する頻度が高い(40〜70%)3) 4)
常染色体優性遺伝 で高い浸透率を示す1) 2)
Q
若年開放隅角緑内障(JOAG)は子どもでも起こりますか?
A
JOAGは4歳以上から発症しうる疾患である。ただし多くの場合10代後半〜30代で診断される。初期は無症状のことが多いため、緑内障 の家族歴がある場合は小児期からの定期的な眼科検診が重要である。JOAGの64.4%に家族歴を認めるため、血縁者の早期スクリーニングが視力 保全に有用となる。
原発開放隅角緑内障 と同様に、視野障害が進行するまで多くの場合は無症状である。ただし比較的若年から以下の症状を自覚する場合がある:
霧視 (かすみ目 ) : 非常に眼圧 が高い時期に自覚されやすい
視力 低下 : 慢性的な高眼圧 による視神経 障害の進行に伴い出現する
眼精疲労 ・眼の重い感じ : 眼圧 40 mmHg以上の高値時に出現する
頭痛 : 著しい高眼圧 に伴う症状として訴えることがある
乳児緑内障 (PCG)でみられる流涙・羞明 ・角膜 混濁の三徴はJOAGでは認めない3) 4) 。
眼圧 : 著しい高値が特徴的である。ANZRAG研究(660例)ではJOAG群の眼圧 中央値は29 mmHg(IQR 23〜38)であり、MYOC変異保有者ではさらに高く40 mmHg(IQR 29〜45)と報告されている1) 。眼圧 の時期的な変動幅も大きく、季節変動も顕著である。診断時の眼圧 がそれほど高くない場合でも、過去の高眼圧 期に生じた視神経 障害が高度であることがある。
角膜 所見 : 角膜 径の増大を認めない。これはPCGとの重要な鑑別点である。Haab線条(デスメ膜 破裂)も認めない。
隅角 所見 : 隅角鏡検査 では開放隅角 を呈する3) 。隅角 形成異常の程度は軽度であるが、虹彩 高位付着や顕著な虹彩 突起がみられることがある3) 4) 。発達緑内障 における基本的な隅角 所見として、虹彩 の高位付着・隅角 底の形成不全・線維柱帯 の幅の増加・Schwalbe線の前方偏位や肥厚が知られるが、JOAGではこれらの異常が軽微で正常にみえる場合もある。
視神経乳頭 : 緑内障 性視神経乳頭陥凹 を示す。全体的に陥凹が拡大し、視神経 の色調が比較的良好な場合もあるため、視野に障害を認めない段階でも視神経 障害が進行していることがある。左右で障害の程度が異なることが多い。散瞳検査 でしばしば両側性の乳頭陥凹を認める。
視野所見 : 眼圧 の変動が大きい場合、視野障害の進行は一般的な開放隅角緑内障 よりも速い。視野測定の間隔を短くする必要がある。ハンフリー自動視野計が標準的検査であり、年少児にはゴールドマン視野計も使用される。
近視 進行 : 後極部の強膜 に弾性が残存するため、眼圧 上昇により近視 が進行する。PCGのように眼球全体が拡大するのではなく、後極部の限局的な変形として現れる。
JOAGは高い浸透率を伴う常染色体優性遺伝 が主な遺伝形式であり、遺伝的要因が強い緑内障 である1) 2) 。関連遺伝子として以下が同定されている。
MYOC(ミオシリン)遺伝子
GLC1A座位(染色体1q24.3-q25.2)に位置する2)
JOAG症例の9.5%に変異(ANZRAG研究・252名中24名) 1)
MYOC変異保有者の臨床的特徴 : 眼圧 中央値40 mmHg(IQR 29〜45)、発症年齢中央値29歳(IQR 15〜35歳)、100%に家族歴陽性1)
表現型-遺伝型相関 : Gln368Stop変異は比較的軽症の表現型を示し、Tyr437His・Ile477Asn変異はより重症で早期発症の表現型と関連する
機能的意義 : ミオシリンは線維柱帯 に発現し、変異により房水 流出抵抗を増加させる2) 。POAG 全体でのMYOC変異頻度は2〜4%であるが、若年発症・高眼圧 ・家族歴ありの患者を選択すると16〜40%に上昇する2) 4)
その他の関連遺伝子
CYP1B1 : JOAG症例の3.2%に二重対立遺伝子変異が報告されている1) 。PCGの主要原因遺伝子でもあり、JOAGとPCGの遺伝的な重複を示す所見である1)
CPAM D8 : 前房 の圧力動態に関与する蛋白をコードする。JOAGの一部症例で変異が報告されている1)
TBK1・OPTN : 正常眼圧 型JOAGとの関連が報告されている。TBK1変異例のIOP 中央値は13 mmHg、OPTN変異例では18 mmHgと低値である1)
FOXC1 : Axenfeld-Rieger症候群の原因遺伝子であるが、JOAG症例での変異報告もある1)
ANZRAG研究(252名のJOAG)では分子診断が得られたのは約15.5%にとどまり、大部分の症例では原因遺伝子が未同定である1) 。国際的な共同研究による新たな遺伝子座の同定が必要とされている。
近視 : JOAG患者の87%に近視 を認める。後極部強膜 の弾性残存により、高眼圧 が近視 進行を促進する
男性 : 一部の研究で男性優位(64%)の報告があるが、ANZRAG研究では明確な性差を認めていない1)
Q
JOAG家系では遺伝子検査を受けるべきですか?
A
JOAGは常染色体優性遺伝 の形式をとることが多く、家族歴が強い。MYOC変異を保有する場合の生涯発症リスクは60〜100%と報告されている4) 。遺伝子検査により早期にリスクを把握し、定期検診を開始できれば視力 保全につながる。一方、現時点でJOAGの約85%は原因遺伝子が未同定であり1) 、検査が陰性でもリスクがないとはいえない。緑内障 専門医への相談が推奨される。
緑内障 診療ガイドライン第5版によるJOAGの診断基準は以下の通りである5) :
4歳以降に発症する小児緑内障
眼球拡大を伴わない(PCGとの鑑別点)
先天性の眼形成異常や全身疾患を伴わない
開放隅角 (正常隅角 所見)
小児緑内障 の診断基準を満たす
World Glaucoma Association(WGA)の小児緑内障 診断基準では、以下の2項目以上を満たすことが求められる5) :
眼圧 が21 mmHgより高い
C/D比 (陥凹乳頭径比)増大の進行、C/D比 の左右非対称の増大、リムの菲薄化
角膜 所見(Haab線、新生児では角膜 径11 mm以上、1歳未満では12 mm以上)
眼軸長 の正常発達を超えた伸長による近視 の進行・近視 化
緑内障 性視神経乳頭 と再現性のある視野欠損
10歳頃には静的量的視野検査 を含めた基本的な眼科検査が可能となる。JOAGでは眼圧 の時期的な変動幅が大きく、季節変動も顕著であるため、1回の測定では真の眼圧 を評価できないことがある。
ゴールドマン圧平眼圧計 : 眼圧測定 の基準法。日内変動・季節変動を考慮し複数回測定が推奨される
細隙灯顕微鏡検査 : 前眼部・隅角 の評価
隅角鏡検査 : 隅角 閉塞の除外、隅角 形成異常(虹彩 高位付着・線維柱帯 幅増加・Schwalbe線前方偏位)の評価3) 4)
眼底検査 : 視神経乳頭 のC/D比 ・陥凹形態・色調の評価
静的量的視野検査 : ハンフリー自動視野計が基本。眼圧 変動が大きい場合は検査間隔を短縮する。協力困難な年少児にはゴールドマン視野計を使用
光干渉断層計 (OCT ) : 網膜神経線維層 厚(RNFL )・神経節細胞複合体(GCC)の解析に有用。成長に伴う正常な眼軸長 延長を考慮する必要がある
角膜 厚測定 : JOAGにおける正式な役割は未確立であるが、精密検査の一部として推奨される
隅角 の発達異常の程度には幅があり、隅角 の発達程度と発症年齢以外に原発開放隅角緑内障 (POAG )との鑑別は難しい場合がある。遅発型は早発型に比べ、鑑別すべき疾患が増加する。問診や詳細な診察で鑑別が可能である。
Q
JOAGと先天緑内障はどう区別しますか?
A
先天緑内障 (PCG)は強度の隅角 形成異常により眼球拡大(牛眼)を来す疾患であり、多くは2歳未満で発症する5) 。流涙・羞明 ・角膜 混濁の三徴が特徴的で、角膜 拡大やHaab線条(デスメ膜 破裂)も認められる。JOAGではこれらの所見がなく、4歳以降に発症し開放隅角 (正常隅角 所見)を呈する点で鑑別される。
JOAGの治療は原則として原発開放隅角緑内障 の治療に準じるが、隅角 形成異常や著しい高眼圧 などPCGと重なる部分も大きいため、その点を考慮に入れて治療にあたる必要がある5) 。患者・家族の理解度が得られれば点眼治療から開始し、効果が不十分な場合に手術治療を選択する。ただし、薬物治療と手術治療を比較した報告では、眼圧 を18 mmHg以下にコントロールできる確率・視野障害の進行を抑制できる確率のいずれも手術治療のほうが高い5) 。
年齢と眼圧 ・視神経 障害・視野障害の程度に応じて目標眼圧 および治療方針を決定する。
薬剤分類 代表的薬剤 適応・選択基準 注意点 PG関連薬 ラタノプロスト等 眼圧 25 mmHg超で第一選択眼瞼周囲色素沈着 β遮断薬 チモロール等 眼圧 20〜25 mmHgで第一選択気管支喘息・徐脈に禁忌 CAI ドルゾラミド 等付加薬として使用 内服は代謝性アシドーシス・成長抑制に注意
PG関連薬(プロスタノイドFP受容体作動薬) : ラタノプロスト等。小児でもβ遮断薬 より眼圧 下降効果が高いことが確認されている。視神経 ・視野障害が軽度でも眼圧 が25 mmHgを超える場合は最初から使用する。副作用として若年者では眼瞼周囲の色素沈着が問題になりやすい。ぶどう膜強膜流出路 が未発達の症例では効果が乏しい場合がある。PG関連薬とβ遮断薬 では効果に差がないとする報告もある5)
β遮断薬 : 眼圧 20〜25 mmHgの中等度上昇例で、眼瞼周囲色素沈着などの副作用を考慮する場合に使用を開始する。喘息等の既往がないことを確認する。乳幼児では無呼吸の報告があり特に注意が必要である
炭酸脱水酵素阻害薬 (CAI) : 付加薬として使用する。内服(アセタゾラミド 5〜10 mg/kgを6〜8時間ごと)は代謝性アシドーシス・成長抑制に注意する
ピロカルピン塩酸塩(縮瞳薬) : 一部の症例で眼圧 下降効果が得られるが、縮瞳・誘発近視 による忍容性低下や点眼回数の問題がある
交感神経α2受容体作動薬(ブリモニジン等) : 2歳未満には精神神経症状の出現のため禁忌である5)
眼圧 変動に伴い、点眼薬の変更・追加を行い、眼圧 が下降した時点で点眼薬を減らすことも若年者では必要である。
薬物治療で十分な眼圧 下降が得られない場合、または視野障害が末期の場合に手術治療を選択する。
眼圧 30〜40 mmHg以上に上昇し、数週間の薬物治療で眼圧 下降が得られない場合
眼圧 が20 mmHg程度であっても視野障害が末期の場合
線維柱帯切開術 (第一選択) : 若年で視野障害が軽度の場合、眼圧 の再上昇や濾過胞感染のリスクを考慮し、下方からの線維柱帯切開術 を選択する。隅角 切開術(ゴニオトミー)も奏功するケースがある。全周線維柱帯切開術 (360度、照明付きマイクロカテーテル使用)では10眼の研究で平均眼圧 が50%減少した。GAT T(隅角 鏡下経管腔的線維柱帯切開術 )はKDB(Kahook Dual Blade)隅角 切開術と比較して良好な成績を示し、平均眼圧 44%減少 vs 14%減少、再手術率もGAT T 5/36眼 vs KDB 8/13眼であった
線維柱帯切除術 (MMC併用) : 末期の視野障害を有する場合、または線維柱帯切開術 を複数回施行した症例で選択する。術後3年での薬剤なし眼圧 制御率は50〜87%との報告がある。MYOC変異に連鎖する家系では83%が濾過手術 を要した
チューブシャント 手術(緑内障ドレナージデバイス ) : 結膜 瘢痕で濾過手術 が困難な場合や難治例で選択する。小児緑内障 に対するGDDのメタ解析(32研究・1,221眼)では、術前IOP 31.8±3.4 mmHgに対し、術後12ヶ月で16.5 mmHg(95%CI 15.5〜17.6)、24ヶ月で17.6 mmHg(95%CI 16.4〜18.7)への低下を認めた6) 。12ヶ月成功率0.87(95%CI 0.83〜0.91)、24ヶ月成功率0.77(95%CI 0.71〜0.83)と報告されている6)
毛様体破壊術 : 線維柱帯切開術 ・切除術を複数回行った後の最終手段として選択する
30眼のJOAGに対する前向き研究では、12ヶ月時点で43%が追加治療なしに20%以上の眼圧 下降を維持した。前眼部OCT でシュレム管 が可視化される眼ではSLT の成功率が8.3〜21.4倍高い。線維柱帯 上に高反射膜がある眼では効果が得られない。ただし若年者ではレーザートラベクロプラスティの奏効率は一般に低いと考えられている。
Xenゲルステント やHydrus ステントの少数例報告がある。MIGS 全般では、IOP 減少15〜50%、薬剤使用0.4〜1.8剤の減少、合併症率が低い(前房出血 20%以下、低眼圧 15.4%以下)ことが報告されている7) 。JOAGに特化した大規模エビデンスは不足しているが、有効な選択肢となりうる。
Q
JOAGの治療は点眼薬だけで大丈夫ですか?
A
点眼治療から開始するが、JOAGでは薬物療法のみで十分な眼圧 コントロールが得られないことが多い。40〜70%の患者が最終的に手術治療を要するとされる3) 4) 。薬物治療と手術治療を比較した報告では、眼圧 18 mmHg以下へのコントロール確率・視野障害進行の抑制確率ともに手術治療が優れている5) 。線維柱帯切開術 が第一選択となり、若年者では下方からの施行が推奨される。
JOAGの基本的病態は隅角 形成異常に起因する房水 流出抵抗の増大と眼圧 上昇である。遅発型は早発型(PCG)と比較して隅角 異常の程度が軽いため発症年齢が高くなるが、隅角 形成異常に起因する眼圧 上昇という基本機序は両者で共通であり、明確に区別することは困難である。
線維柱帯 には傍Schlemm管結合組織様のコンパクトな組織がSchlemm管下に厚く存在している。この組織は細胞突起の短い線維柱帯 細胞、コラーゲンとエラスチン様線維からなる線維成分、および基底膜様の形態を示す大量の無定形物質で構成されており、層板状の構造はみられない。この組織が厚く存在し線維柱帯 の細胞間隙を占めていることが、房水 流出抵抗の増大と眼圧 上昇に関与していると考えられている。
11検体の線維柱帯切除術 標本の研究では、異常な基底膜様物質(指紋状パターン)が線維柱帯 の外側角膜 強膜 部と篩状部に存在し、成人POAG と比較して篩状部をより高度に肥厚させていた。
MYOCの機能 : ミオシリンは線維柱帯 (線維柱帯 梁・シュレム管 隣接組織)に発現する蛋白であり、変異により房水 流出抵抗を増加させると考えられている2) 。動物実験ではMYOCの発現レベルが眼圧 と相関することが確認されている2) 。開放隅角緑内障 の原因遺伝子座としてGLC1A〜GLC1Pが報告されており、そのうちMYOC・OPTN・WDR36・NTF4・TBK1の5つの原因遺伝子が同定されている。JOAGに関連する遺伝子としては眼圧 上昇をきたすMYOCとNTF4遺伝子が考えられているが、同じ遺伝子異常をもつ家族内でも表現型は多彩である。
CYP1B1の関与 : CYP1B1はPCGの主要原因遺伝子であるが、JOAGにおいても3.2%に二重対立遺伝子変異が確認されている1) 。CYP1B1変異がPCGとJOAGの両方で確認されることは、両疾患の遺伝的重複を示す所見であり、隅角 形成異常の連続体としての理解を支持する。
線維柱帯 細胞は神経堤由来であり、傍Schlemm管結合組織は血管内皮細胞由来である。起源が異なるこれら2つの組織の隣接点に最大の房水 流出抵抗が存在する。
JOAGでは後極部の強膜 に弾性が残存しているため、眼圧 上昇により近視 が進行する。PCGのように眼球全体が拡大する(牛眼)のではなく、後極部の限局的変形として現れるのが特徴である。
OCT -A(光干渉断層血管造影)を用いた研究で、JOAGでは成人POAG と比較して乳頭周囲の血管密度が有意に低下していた。血管密度はRNFL 厚および最良矯正視力 と強い正の相関を示し、視神経 の血管灌流低下がJOAGの病態に関与している可能性が示唆されている。
ANZRAG研究(オーストラリア・ニュージーランド、660例)はJOAGにおける最大規模の遺伝子解析研究である1) 。JOAG 252例中15.5%で分子診断が得られ、MYOC(9.5%)、CYP1B1(3.2%)、FOXC1(0.8%)、CPAM D8(0.4%)、OPTN(0.4%)の変異が同定された1) 。遺伝子診断により10.4%の患者で臨床診断の再分類が行われた1) 。
大部分の症例では原因遺伝子が未同定であり、国際的な共同研究による新たな遺伝子の同定が必要とされている1) 。
MYOC変異の種類によりJOAGの重症度が異なることが明らかになりつつある1) 2) 。Gln368Stop変異は比較的軽症で遅発型の表現型を示すのに対し、Tyr437His・Ile477Asn変異はより重症かつ早期発症の表現型と関連する。CYP1B1変異は女性に多く(66.7% vs 33.3%、P=0.03)、非欧州系の集団でもみられる1) 。将来的には遺伝子検査パネルに基づく個別化治療計画が実現する可能性がある。
前眼部OCT でシュレム管 の可視化と線維柱帯 上高反射膜の有無を評価することで、SLT の治療効果を事前に予測できる可能性が示されている。隅角 形成異常のない症例ではSLT の成功率が4倍高い。
小児緑内障 のQOL評価に関するシステマティックレビューでは、10種類のPROMs(患者報告型アウトカム指標)が使用されていたが、小児緑内障 に特化して開発されたPROMは存在しなかった8) 。点眼治療の継続、反復する手術、疾患の遺伝性といったJOAG特有の課題がQOL評価において見落とされている可能性がある8) 。
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