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小児眼科・斜視

3歳児健診と視覚スクリーニング

1. 3歳児健診と視覚スクリーニングとは

Section titled “1. 3歳児健診と視覚スクリーニングとは”

3歳児健康診査は母子保健法に基づき市区町村が実施する乳幼児健康診査であり、視力スクリーニングを含む。弱視斜視・有意な屈折異常の早期発見が主な目的である。

小児の視機能をスクリーニングする主な機会は3つある。

  • 3歳児健康診査:母子保健法に基づき市区町村が実施。視力スクリーニングが含まれる
  • 就学時健康診断:学校保健安全法に基づき市区町村教育委員会が実施(就学前年度)
  • 学校定期健康診断:学校保健安全法施行規則により毎学年6月30日までに実施

学校保健安全法は平成21年(2009年)に旧学校保健法から改正・施行され、学校保健の領域が拡大された。

弱視(amblyopia)は視覚発達期における異常な視覚入力により生じる視力障害であり、以下の4型に分類される1)

  • 屈折異常弱視:両眼同程度の高度な屈折異常(特に遠視)による両眼性弱視。調節機能を駆使しても鮮明な像を結べないために生じる
  • 不同視弱視:左右眼の屈折差による片眼性弱視弱視の中で最も頻度が高い。遠視性では左右差1D程度でも発症しうる
  • 斜視弱視:常に固視眼が決まっている斜視で非固視眼の抑制が持続し生じる片眼性弱視
  • 形態覚遮断弱視先天白内障・重度眼瞼下垂角膜混濁等で視軸が遮断される。最も稀だが最も重篤で治療抵抗性を示す1)

弱視の有病率は、日本では3歳児健診のメタアナリシスから0.58%と推測されている。海外では0.14〜4.8%と報告に幅があり、米国ではアフリカ系1.5%、ヒスパニック2.6%との疫学データがある。

弱視は幼児期に適切な治療を行えば回復の可能性があるが、治療せずに放置すると視力が永久的に低下する。弱視がなくとも、未矯正の屈折異常は学習や学校での成績に悪影響を及ぼす可能性がある。

3歳児健診に漏れた場合でも、保育園・幼稚園での年次眼科健診、就学時健診、小学校での年次眼科健診が発見の契機となる。日本眼科医会の調べでは、要精検となった幼児の約25%が眼科を受診していないことが報告されている2)

Q 視力スクリーニングは何歳から受けるべきか?
A

3歳児健診が最も重要なスクリーニング機会である。フォトスクリーナーや赤外線ビデオレフラクトメーターでは生後6か月から検査可能である。米国予防医学作業部会(USPSTF)は3〜5歳での受検を推奨している3)。3歳の健診を逃した場合でも、就学時健診や小学校の年次健診で発見の機会がある。

自覚症状(保護者・本人が気づくサイン)

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弱視斜視は自覚症状に乏しく、本人が気づかないことが多い。3歳児健診の問診票に含まれる以下の項目は、家庭での早期発見の手がかりとなる。

  • 目つきや目の動きの異常:目が揺れている(眼振)、まぶたが下がっている(眼瞼下垂
  • 眼位の異常:黒目が内側に寄る、外上や斜め上にずれる
  • 頭位異常:ものを見るとき頭を傾けたり、横目で見たりする
  • 行動の異常:物に近づいて見る、明るい屋外で片目をつぶることがある
  • 瞳孔の異常:黒目の中心が白っぽく見える(白色瞳孔=leukocoria)、黒目の大きさが左右で違う

臨床所見(スクリーニングで検出される異常)

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  • 赤色反射異常:検影器や直像鏡で瞳孔に光を当て、眼底からの反射を観察する。両眼が等しく明るく対称的な黄橙色であれば正常である。反射が暗い場合は強度屈折異常、非対称は不同視、反射が得られない場合は全白内障を示唆する
  • 眼位異常:Hirschberg法(眼前33cmからペンライトで角膜反射光の位置を観察)やBruckner法(red reflexによる瞳孔輝度と角膜反射像の関係を観察)で評価する。Bruckner法は偽陽性が少なく、より適している
  • 有意な屈折異常弱視リスクとなる屈折異常の基準値がAAOにより示されている1)。0〜1歳では近視≧-5.00D、遠視斜視なし)≧+6.00D、乱視≧3.00Dが弱視のリスクとなる。不同視については近視≧-4.00D、遠視≧+2.50D、乱視≧2.50Dがリスクとされる
  • 固視異常中心窩以外の網膜部位で固視している偏心固視は弱視の存在を示唆する
  • 嫌悪反射陽性:片眼遮閉時の反応の左右差で判定する。片眼に強い弱視がある場合、非弱視眼を隠した際に嫌悪反射がみられる
Q 家庭で子供の視力の問題に気づくにはどうすればよいか?
A

おもちゃで集中して遊んでいるときに、片眼ずつそっと手で隠して反応の左右差を観察する。極端に嫌がる側があれば片眼弱視の可能性がある。テレビ視聴時の頭位異常や片目つぶり、物に極端に近づく行動にも注意する。

弱視を生じるリスクが高い因子として、以下が知られている。

  • 早産・低出生体重
  • 発達遅滞
  • 弱視の家族歴:1親等(両親・きょうだい)に弱視がある場合
  • 不同視弱視のオッズ比が最も高い
  • 斜視不同視に次いでリスクが高い

屈折異常弱視

発症機序:両眼同程度の強い遠視で、調節機能を駆使しても鮮明な像を結べないために生じる。

特徴:両眼性。高度遠視(+5D以上)・高度乱視が主な原因。斜視を伴わないため発見が遅れやすい。

不同視弱視

発症機序:左右眼の屈折差により、片眼の網膜像が常に鮮明でないために生じる。

特徴弱視の中で最も多い型。遠視性では左右差1Dでも発症しうる。外見上わかりにくく健診での発見が重要。

斜視弱視

発症機序:常に固視眼が決まっている斜視で非固視眼の抑制が持続し生じる。

特徴:片眼性。外見上斜視が明らかなため発見されやすいが、軽度の場合は見逃されることもある1)

形態覚遮断弱視

発症機序先天白内障・重度眼瞼下垂角膜混濁等で視軸が遮断され、中心窩への視刺激が得られない。

特徴:最も稀だが最も重篤。形成後に急速に悪化するため早期手術が不可欠1)

学校健診で視力低下を指摘された場合、屈折異常が最も多い原因であるが、弱視や心因性視覚障害も鑑別に含める。学校医は受診がされているかについても注意を払うことが重要である。

心因性視覚障害:心理的ストレスにより引き起こされる一時的な視力障害。視力は中等度の低下が多く、日常生活に支障がないが「授業で黒板の字が見えない」「教科書が読めない」ことを訴える。Goldmann動的視野検査でらせん状視野や管状視野がみられるのが特徴である。学校・家庭との連携が治療の鍵となる。

日本の3歳児健診の流れ(3段階)

Section titled “日本の3歳児健診の流れ(3段階)”
  • 一次検査(自宅):Landolt環0.5視標による視力検査と問診票の記入を自宅で実施する。保護者が担当する
  • 二次検査(保健センター等):集団健診で全員に屈折検査を実施。視力再検査、小児科医等の診察を行う
  • 三次検査(精密検査):要精検判定(屈折検査異常・検査不可、視力不良、問診票にチェックあり)→ 眼科医療機関で精密検査(調節麻痺下屈折検査を含む完全な小児眼科検査)に進む

フォトスクリーナーの日本への導入

Section titled “フォトスクリーナーの日本への導入”
  • 2015年:海外からフォトスクリーナーが輸入され、弱視発見率(約2%)が著明に向上した
  • 2022年:日本眼科医会が「3歳児健診における視覚検査マニュアル」を作成・配布2)
  • 2023年度:全国1,741自治体のうち85.3%で屈折検査を導入。国の半額補助が開始された2)
  • 2023年度:母子健康手帳に屈折検査項目が追記された

小児の視力検査は年齢・発達に応じて方法を選択する必要がある。

年齢推奨される検査法
2歳未満瞬目反射、固視・追視、嫌悪反射、OKN、PL法
2歳森実式ドットカード、絵視標
3〜6歳字ひとつ視標、Landolt環
6歳以上字づまり視標、Landolt環

乳幼児の視力は発達による影響、人見知り、場所見知り、健康状態、その日の機嫌などにより変化する。検査方法によっても結果が異なることに留意する。

自覚的スクリーニング法の詳細

Section titled “自覚的スクリーニング法の詳細”
  • 固視・追視検査:生後2か月頃から可能。水平性追視が垂直性より先に可能となり、3か月頃に全方向追視が完成する
  • 嫌悪反射:片眼ずつ隠したときの左右差を確認する。非弱視眼を隠した際に嫌悪反応がみられれば片眼弱視を疑う
  • PL(Preferential Looking)法:縞視標と無地視標を提示し、縞の弁別を評価する。1歳6か月頃まで有用である
  • 視力カード法:TAC(Teller Acuity Cards)やCardiff acuity testなど
  • OKN(視運動性眼振:縦縞ドラムを回転させ眼振を誘発する。生後2か月頃から可能
  • 森実式ドットカード:ウサギやクマの顔の絵の中にある目を指さしてもらう。2歳頃から可能(検査距離30cm)
  • 絵視標:犬、蝶、魚、鳥の影絵を用いる。Landolt環ができない2〜3歳児に使用する
  • Landolt環:3歳半〜4歳くらいから可能。小学校低学年までは読み分け困難現象(crowding phenomenon)があるため字ひとつ視標を用いる

手で覆う方法は指の隙間から覗き見ることが多いため推奨されない。貼り付け式のアイパッチまたは不透明の遮蔽板を使用する。

患者の協力を必要とせず、乳児期から実施可能な最も基本的な検査である。検影器や直像鏡で瞳孔に光を当て、反射の色調・明るさ・対称性を観察する。赤色反射の異常は先天白内障網膜芽細胞腫などの早期紹介の契機となる1)

散瞳下で使用し、屈折異常の推定値を示す。主な装置にGrand Seiko双眼オートレフラクタ、Retinomax、SureSightがある。多くは単眼検査であるため、斜視のスクリーニングにはならない点に注意が必要である。

瞳孔からの角膜反射像を撮影し、斜視屈折異常・不同視を検出する。両眼同時に検査を行うため顕性斜視の直接的なスクリーニングが可能である。白内障コロボーマ眼瞼下垂なども検出できる4)

主な装置と特徴:

装置方式特徴
iScreen可視光フラッシュ遠隔専門家解析対応
plusoptiX赤外線ビデオオートレフ値算出。紹介基準変更可能
Spot Vision Screener赤外線ビデオアイトラッキング機能搭載。数秒で測定完了
GoCheck KIDSiPhoneアプリ低コスト・電子カルテ連携対応

スクリーニングで異常疑いと判定された例には必須の精密検査である。

  • 1%シクロペントラート点眼液:点眼後約60分で効果発現。調節麻痺は24〜48時間持続する
  • 1%アトロピン点眼液:最も強力な調節麻痺薬。内斜視弱視の例では1度は使用すべきとされる
  • トロピカミド・フェニレフリン合剤:日常的な散瞳に用いられる

フラッシュ刺激やパターン刺激で脳波を記録し、視力を推定する。VEP視力はPL法やOKNによる視力に比べて高値を示しやすい。

年齢正常視力の目安
3か月0.05程度
1歳0.1〜0.2
2歳0.3〜0.5
3歳0.5〜0.8
6歳1.0

乳幼児の視力は生後から3歳までに急速に発達し、6〜8歳頃までにほぼ完成する。これらの値はあくまで目安であり、個人差も大きい。

検査項目内容
視力検査国際基準に準拠した視力表を用い、左右別に裸眼視力を測定。眼鏡使用者は矯正視力も測定する
眼の疾病・異常伝染性眼疾患、外眼部異常、眼位の異常など
検査項目内容
視力検査左右別に裸眼視力を測定。A判定(1.0以上)〜D判定(0.3未満)の4段階で評価
眼の疾病・異常伝染性眼疾患、その他外眼部疾患、眼位・眼球運動検査など
色覚検査必須項目ではないが、児童生徒・保護者の同意のもとに行うことができる(平成14年(2002年)に必須項目から削除)
Q フォトスクリーナーとオートレフラクタの違いは何か?
A

オートレフラクタは多くが単眼検査であり屈折異常の推定に特化している。一方、フォトスクリーナーは両眼同時に検査を行うため、屈折異常に加えて顕性斜視の直接的なスクリーニングが可能である。白内障コロボーマなどの解剖学的異常も検出できる点が異なる4)

Q 3歳児健診で「要精検」と言われたらどうすればよいか?
A

スクリーニングの要精検判定は確定診断ではない。速やかに小児眼科を受診し、調節麻痺下屈折検査を含む精密検査を受けることが重要である。要精検児の約25%が眼科未受診との報告があり、未受診は弱視治療の機会を失うことを意味する2)

3歳児健診・視覚スクリーニングは検査体制であり、スクリーニング自体の「治療」は存在しない。ここではスクリーニングで発見された主な疾患の治療の概要を述べる。

  1. 要受診判定 → 眼科受診勧奨
  2. 屈折異常 → 眼鏡処方(調節麻痺薬使用による他覚的検査に基づく)。内斜視弱視の治療用眼鏡は9歳未満が給付対象
  3. 弱視遮閉療法(健眼をアイパッチで遮閉し弱視眼を使用させる)。遮閉弱視のリスクがあるため定期的視力評価が必須
  4. 心因性視覚障害 → 心理的要因の特定、学校・家庭との連携

内斜視弱視の治療用眼鏡は9歳未満が給付対象であり、眼鏡(掛け式)36,700円×104.8/100を上限に購入金額の7割が保険給付される。更新条件は5歳未満は1年以上、5歳以上は2年以上の間隔が必要である。屈折検査は必ず調節麻痺を行って評価する。

弱視治療の中心的手法である。健眼をアイパッチで遮閉し、弱視眼を積極的に使用させることで視力の発達を促す。健眼遮閉に伴う遮閉弱視(健眼の視力発達障害)のリスクがあるため、定期的な視力評価が不可欠である。健眼の視力が2 line以上低下した場合は一時中止し、眼科医に相談する。

  • 片眼性:生後6〜8週までに手術が推奨される
  • 両眼性:生後10〜12週までに手術が推奨される

視覚感受性は生後1〜18か月が最も高く、8歳頃まで残存する。早期治療ほど正常な視力発達の可能性が高い1)。ただし12歳以降に治療を開始し視力が改善した症例も報告されており、明確なcritical periodの設定は困難である。治療反応が不良な場合は、全色盲網膜色素変性網膜分離症・常染色体視神経萎縮黄斑低形成・脳腫瘍・網膜芽細胞腫などの器質的疾患を鑑別する。

  • 小児の視力は発達過程にあり、年齢によって正常値が異なる。成人と同様な評価はできない
  • 検査方法・健康状態・機嫌により結果が変わる可能性がある
  • 3歳児健診は弱視の治療可能な時期に発見するための重要な機会である
Q 弱視の治療は何歳まで効果があるか?
A

視覚感受性が残存する8歳頃まで治療効果が高い1)。近年のエビデンスでは7〜12歳でも遮閉療法に有意な反応が報告されており、年齢が上がるにつれて効果は低下するが、絶対的な上限年齢は確定していない。早期治療ほど効果が高いことは確立されている。

Q 3歳児健診を受けそびれた場合はどうすればよいか?
A

就学時健診や学校定期健診でスクリーニングの機会がある。保育園・幼稚園での年次眼科健診も代替スクリーニングとなる。心配な場合は年齢を問わずに眼科受診が勧められる。感受性期間内の治療が最も効果的であるため、発見が遅れても早期に受診することが重要である。

6. 病態生理学・詳細な発症機序

Section titled “6. 病態生理学・詳細な発症機序”

ヒトの視力は出生直後からの視覚経験により発達する。

  • 視力は1歳で0.1、2歳で0.5、3歳で1.0に達するとされる
  • 視力は自覚的数値であり乳幼児での測定は困難。実際の検査で1.0に達するのは平均4歳後半との研究もある
  • 他覚的測定法ではより早期に潜在的視力の向上がみられ、1歳で1.0相当との報告がある
  • 追視は生後1か月頃からみられ、3か月健診の確認項目となっている。水平性追視が垂直性より先に可能となり、3か月頃に全方向への追視が完成する
  • 乳幼児の視力は生後から3歳までに急速に発達し、6〜8歳頃までにほぼ完成する

小児の正常視力の発達過程を以下に示す。

月齢・年齢視覚発達の指標
生後1か月追視の出現
生後2か月両眼固視、正中線を越える追視
生後3か月全方向への追視完成。3か月健診で確認
1歳視力0.1〜0.2
2歳視力0.3〜0.5
3歳視力0.5〜0.8(1.0に達する場合も)
6〜8歳視力発達がほぼ完成

視覚感受性期間(critical period)

Section titled “視覚感受性期間(critical period)”

視覚発達期に視覚刺激の遮断が起こった場合、時期が早く、期間が長く、遮断の程度が強いほど不可逆的な視力障害が生じる。動物実験では、機能面のみならず器質的にも網膜から視索・視路に及ぶ変性・萎縮を伴うことが知られている。

粟屋の説によれば、ヒトの視覚感受性は生直後は低く、生後1か月〜18か月で非常に高くなり、その後徐々に減衰するが8歳頃まではかなりの感受性が残存すると考えられている。

弱視の本態は視覚中枢(視覚皮質・外側膝状体)の機能的変化であり、器質的病変ではない。弱視は視覚情報の異常な処理から生じる中枢神経系の機能障害であり、視力低下のみならずコントラスト感度や調節の障害も伴う1)

  • 斜視弱視:両眼からの非融像性入力が競合・抑制し合い、固視眼が大脳皮質の視覚中枢で優位となる。非固視眼への反応が慢性的に低下し、弱視が成立する1)
  • 形態覚遮断弱視:視軸の完全または部分的な遮断により劣化した網膜像が形成され、視力発達が障害される。先天白内障が最も一般的な原因である1)
  • 屈折異常弱視不同視弱視:慢性的な焦点不良による視覚皮質への質的刺激不足

裸眼視力1.0未満の割合と近視の実態

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文部科学省学校保健統計調査(2014年度)による裸眼視力1.0未満の割合:

学校種裸眼視力1.0未満裸眼視力0.3未満
幼稚園26.53%0.97%
小学校30.16%8.14%
中学校53.04%24.97%
高等学校62.89%35.84%

裸眼視力1.0未満の者」の割合は増加傾向にある。昭和54年度(幼稚園16.47%、小学校17.91%)と比較して現在は大幅に増加している。幼稚園・小学校では「むし歯(う歯)」に次いで多く、中学校・高等学校では最多の健康問題となっている。

眼科学校医は学校健診において以下の6つの役割を担う。

  1. 定期健康診断に従事すること
  2. 就学時健康診断に従事すること
  3. 健康相談(健康診断後の事後措置、保護者の依頼への対応)
  4. 保健指導(眼科専門医として講演・講話への参加)
  5. 救急処置への対応
  6. 疾病の予防処置(スポーツ眼外傷予防等)

スポーツによる重度の眼外傷は球技、特に野球・ソフトボール、サッカーに多い。スポーツ外傷や化学実験による外傷など、予測が可能なものには保護眼鏡の装用の指導を行う。

  • 昭和33年(1958年):学校保健法制定
  • 昭和42年(1967年):眼科学校医設置
  • 平成14年(2002年):眼科学校健診の必須項目から色覚検査が削除(同意下での実施は可能)
  • 平成21年(2009年):学校保健安全法施行(旧学校保健法から改正)

偏光レーザースキャン(blinq™)

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Rebion社が開発したblinq™小児視力スキャナーは、偏光レーザースキャンにより網膜神経線維を調べ、小角度の斜視および中心窩のわずかなずれを検出する新しいスクリーニング技術である。子供の目から約35cm離して保持し、2.5秒間で両方の網膜を同時にスキャンする。

初期モデルのPediatric Vision Scannerを用いた研究では、感度100%(95% CI, 54%-100%)、特異度85%(95% CI, 80%-89%)が報告された。最新モデルblinq™はFDA承認を取得しており、1〜20歳の200人を対象とした前向き横断的研究では、感度100%、特異度91%が示された1)

スマートフォンベースのディープラーニングシステムが、不同視斜視白内障、先天異常を含む様々な病因による幼児の視覚障害を特定することが示されている1)。GoCheck KIDSはiPhoneアプリを基盤とし、低コスト・電子カルテ連携が可能で大規模スクリーニングの普及に寄与する可能性がある。

Diopsys社が提供するスウィープVEP装置は、sweep VEPを利用して視力または両眼の視力差を推定し、合格/紹介の判定を自動出力する1)

  • 1歳6か月健診での屈折検査導入の検討:赤外線ビデオレフラクトメーターは生後6か月から使用可能であり、3歳児健診より早期の導入が検討されている
  • 全自治体での屈折検査義務化:現在85.3%の自治体で導入されているが、全自治体での義務化が今後の課題である2)
  • 機器の精度管理体制の確立:複数機器間での判定基準の統一が求められている
  • 要精検児の眼科未受診率の低減:約25%が未受診との報告があり、受診率向上のための啓発活動が重要である2)

  1. American Academy of Ophthalmology. Amblyopia Preferred Practice Pattern. San Francisco, CA: American Academy of Ophthalmology; 2024.
  2. 日本眼科医会. 3歳児健診における視覚検査マニュアル. 2022.
  3. Grossman DC, Curry SJ, Owens DK, et al. Vision Screening in Children Aged 6 Months to 5 Years: US Preventive Services Task Force Recommendation Statement. JAMA. 2017;318(9):836-844.
  4. Donahue S, Baker C; Committee on Practice and Ambulatory Medicine, American Academy of Pediatrics; Section on Ophthalmology, American Academy of Pediatrics. Visual System Assessment in Infants, Children, and Young Adults by Pediatricians. Pediatrics. 2016;137(1):e20153596.

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