コンテンツにスキップ
小児眼科・斜視

上斜視

上斜視における眼位と眼球運動の評価
Smith J, et al. Stiff-Person Syndrome: A Case Report and Review of the Literature. Br Ir Orthopt J. 2019. Figure 1. PMCID: PMC7510408. License: CC BY.
初診時における患者の眼球運動と、3m距離でのプリズムカバーテストの測定結果である。本文冒頭の要点で扱う上斜視に対応する。

Tamhankarら(2011)は、垂直複視を呈した連続300例を解析し、第IV脳神経麻痺(滑車神経麻痺)と甲状腺眼症が原因の50%以上を占めることを示した1)。この2疾患に加え、眼科手術後合併症・眼窩底骨折重症筋無力症が主要鑑別となるため、病歴聴取と詳細な眼科診察により多くの症例で原因診断が可能である。

Manchandia と Demer(2014)は、MRIで上斜筋萎縮が確認された50例において、Parks 3段階法の3条件すべてを満たしたのは35例(70%)に留まることを報告した2)。すなわち、3段階法陰性であっても上斜筋麻痹を否定できないため、臨床所見と画像所見を総合した診断が必要である。

先天性と後天性上斜筋麻痹の上下視野差

Section titled “先天性と後天性上斜筋麻痹の上下視野差”

Demer(2022)は、MRI上斜筋萎縮を伴う31例を解析し、従来「先天性では上方視で上斜視が増悪する」とされてきた所見が成立しない症例が多いことを示した3)。先天性・後天性いずれにおいても下方視で上斜視が大きい症例の方が多く、視野方向による比較のみで先天性/後天性を鑑別することは困難である。

Wong(2010)は、滑車神経麻痺と区別困難な上斜視として skew deviation を提唱し、仰臥位で垂直偏位が50%以上減少する「upright-supine test」を提示した4)。後頭蓋窩病変を示唆するため、本検査陽性例では神経画像検査による精査が推奨される。

Demer と Clark(2022)は、臨床的に上斜筋麻痺と診断された83例のうち26例(31%)でMRI上の上斜筋萎縮を認めず、3段階法陽性所見が他病態によっても再現されうることを示した5)。臨床診断のみで真の上斜筋麻痺を確定することは困難であり、高解像度MRIによる筋容積・滑車プーリー位置評価が正確な診断に不可欠である。


  1. Tamhankar MA, Kim JH, Ying GS, Volpe NJ. Adult hypertropia: a guide to diagnostic evaluation based on review of 300 patients. Eye (Lond). 2011;25(1):91-96. PMID: 21057518.
  2. Manchandia AM, Demer JL. Sensitivity of the three-step test in diagnosis of superior oblique palsy. J AAPOS. 2014;18(6):567-571. PMID: 25459202.
  3. Demer JL. Vertical comitance of hypertropia in congenital and acquired superior oblique palsy. J Neuroophthalmol. 2022;42(1):e240-e247. PMID: 34670252.
  4. Wong AM. Understanding skew deviation and a new clinical test to differentiate it from trochlear nerve palsy. J AAPOS. 2010;14(1):61-67. PMID: 20227626.
  5. Demer JL, Clark RA. Masquerading superior oblique palsy. Am J Ophthalmol. 2022;242:197-208. PMID: 35618024.

記事の全文をコピーして、お好みのAIに貼り付けて質問できます