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白内障・前眼部

術後眼内炎(Postoperative Endophthalmitis)

白内障手術後に手術に関連して眼内に強い炎症を起こす場合を眼内炎と総称する。主に細菌感染によるものであるが、無菌性炎症(TASS)も起こる。発症時期により以下に大別される。

分類発症時期主な起炎菌緊急度
急性術後1週以内CNS、黄色ブドウ球菌、グラム陰性桿菌、腸球菌緊急手術を要する
亜急性術後1か月以内S. epidermidis等弱毒菌早急な評価が必要
遅発性術後1か月以降C. acnes、S. epidermidis等精査優先・緊急手術不要

急性型は劇症経過をたどり、観血的処置なしには治癒しない。遅発性は数か月〜年単位の経過を経て慢性的な前部ぶどう膜炎として発症することが多く、水晶体囊内に封入されたC. acnesがバイオフィルムを形成して増殖する病態が中心となる。

なお、緑内障濾過手術後の晩期感染(濾過胞関連眼内炎)はグラム陰性桿菌も起炎菌となり急性発症が多い点で異なるため、本記事の対象とは区別する。

白内障術後眼内炎の発症率は現代では約0.04〜0.1%程度と低く、米国 IRIS Registry(2013〜2017年)では0.04%、大規模メタアナリシスでは全体で0.066%と報告されている1, 2)前房内抗菌薬の導入により発症率はさらに低下することが示されている2, 6, 11, 13)

急性術後眼内炎の多くは術後1週間以内に発症するため、術後早期の強い眼痛・急激な視力低下では緊急評価が必要である3)

遅発性眼内炎単独の頻度データは限定的であるが、非感染性の慢性炎症(PUPPI: Prolonged Undifferentiated Postoperative Pseudophakic Iridocyclitis)の発生率は白内障手術患者の1.68%と大規模研究で推定されており4)、感染性・非感染性を含む術後慢性炎症の問題の大きさが示されている。

経路内容
術中感染IOLに付着した菌が眼内に持ち込まれる経路が最多。インジェクター挿入時の創口接触でも汚染しうる
術後感染術後早期に創閉鎖が不十分な時期に、眼表面の細菌が眼内外圧較差により前房内へ逆流する

患者自身の眼瞼縁・結膜の常在菌が主要な感染源である3)。クリアコーニア切開は強膜トンネル切開より弁構造が弱く、術後逆流が生じやすい3)

  • コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(CNS):最多。S. epidermidisが代表的3)
  • 黄色ブドウ球菌:毒素産生による急速な組織破壊。MRSAも増加
  • 連鎖球菌属:溶血性連鎖球菌など、中等度の毒性
  • 緑膿菌等グラム陰性桿菌:内毒素による激烈な炎症、全眼球炎への進展リスク高
  • 腸球菌(Enterococcus):予後不良。セフェム系は無効

グラム陽性菌が大部分を占める(約94%)3)

  • Cutibacterium acnes:遅発型の最代表的起炎菌。嫌気性グラム陽性桿菌で、皮膚・結膜囊の常在菌。水晶体囊内でバイオフィルムを形成して増殖し、術後数か月〜年単位で発症する。IOL支持部や後囊の折れ目に局在するため検出が困難
  • Staphylococcus epidermidis:弱毒グラム陽性球菌で、術後眼内炎全般における主要な起炎菌でもある5)
項目急性型遅発型
発症時期術後1週以内術後1か月以降
眼痛強い(75%に疼痛)軽度または欠如
起炎菌CNS、S. aureus、グラム陰性桿菌等C. acnes、S. epidermidis等
経過急性・劇症慢性・遷延性
白色プラークまれC. acnes感染で特徴的
緊急手術必要不要(精査優先)

ESCRS多施設RCT(16,603眼)に基づく主なリスク要因を以下に示す6)

リスク因子リスク増加出典
後囊破損・硝子体脱出最大10倍(OR 4.95、95%CI 1.68-14.6)3, 6)
前房内セフロキシム不使用4.92倍(95%CI 1.87-12.9)6)
クリアコーニア切開5.88倍(95%CI 1.34-25.9)6)
シリコンIOL(対アクリル)3.13倍(95%CI 1.47-6.67)6)
高齢・免疫不全有意3)
創漏出(術後1日目)・下方切開有意3)
手術時間延長・術者経験不足有意3)
活動性眼瞼炎・涙嚢閉塞有意3)

白内障術後慢性炎症(PUPPI)のリスク要因

Section titled “白内障術後慢性炎症(PUPPI)のリスク要因”

IRIS Registryを用いた大規模疫学研究(7,513,604名)では、白内障術後の慢性炎症に関連するリスク要因が同定されている4)

  • 女性(IRR 1.14、95%CI 1.12-1.15)
  • 糖尿病(IRR 1.87、95%CI 1.84-1.90)
  • 両眼手術(IRR 1.10、95%CI 1.09-1.12)
  • 51〜60歳(1.80%で最高発生率)

自覚症状

  • 視力低下(94%で認められ、急速に進行)3)
  • 強い眼痛(75%に疼痛)。毛様充血を伴う
  • 充血(毛様充血、perikeratic injection)
  • 眼脂・眼瞼腫脹(感染性眼内炎に特徴的、TASSでは通常みられない)

臨床所見の進行

初期〜中期所見

前房炎症(細胞・フレア):最初期から出現。数時間単位で進行する。

フィブリン析出前房内での蛋白析出。前房蓄膿へ移行する。

前房蓄膿(hypopyon):感染性眼内炎の特徴的所見。前房底部に白色層状の膿が貯留する。

毛様充血前房蓄膿期になると眼痛とともに明瞭化する。

角膜浮腫:限局性が多い(TASSのびまん性輪部輪部とは対照的)。

進行期〜重篤所見

硝子体混濁:眼底透見が困難となる。急速悪化の目安であり、硝子体播種後は観血的処置なしに治癒しない。

網膜出血・浸潤・壊死:不可逆的視機能障害につながる。

眼瞼腫脹・眼脂:感染性眼内炎に特徴的であり、TASSとの重要な鑑別点。

全眼球炎への進展:グラム陰性桿菌(緑膿菌等)・連鎖球菌で発症リスク高い。

自覚症状

  • 慢性・遷延性の前部ぶどう膜炎症状(充血視力低下)
  • 術後数か月〜年単位経過してからの発症
  • 弱毒菌のため眼痛は軽度のことが多い
  • 眼脂・眼瞼腫脹は急性型より目立たない

特徴的臨床所見

  • 水晶体囊(IOL)後面の白色プラーク:C. acnes感染に特徴的。IOL表面や後囊に局在するバイオフィルム様の白色沈着で、C. acnesによる遅発性眼内炎では高頻度に認められる
  • 前房炎症・KP(角膜後面沈着物)・フィブリン:慢性虹彩毛様体炎に典型的な所見
  • 硝子体混濁:軽度〜中等度
  • 前房蓄膿:重症例で認められることがある

遅発性に両眼の炎症を起こす場合は、内因性ぶどう膜炎の可能性が高いため精査が必要である。手術から時期が経って発症し両眼性の場合には、交感性眼炎も鑑別として念頭におく。

検査目的
細隙灯顕微鏡検査前房炎症(細胞・フレア)、フィブリン、前房蓄膿IOL後面白色プラークの評価
隅角鏡検査細隙灯では確認できない角隅蓄膿(angle hypopyon)の検出
眼底検査広角眼底カメラ透見可能な範囲での硝子体混濁網膜病変の評価
Bモード超音波眼底透見不良時の硝子体混濁網膜剥離の有無
前房水・硝子体液採取塗抹・好気+嫌気培養・PCRに提出。遅発型ではC. acnesに対し14日間以上の嫌気培養が必須
PCR検査培養陰性例でも菌体DNAを検出可能。C. acnesでは16S rRNA遺伝子をターゲットとする
網膜電図ERGb波減弱は予後不良因子

確定診断は起炎菌の同定による。菌の同定率は必ずしも高くないが、感受性のある抗菌薬の選択と無菌性眼内炎との鑑別に必須であり、必ず行う。

Q 白内障手術後に眼内炎が起こる確率はどのくらいですか?
A

現代では約0.04〜0.05%(2,000〜2,500件に1件)です。前房内抗菌薬(セフロキシム1mg/0.1mL等)を使用すると0.02%まで低下する報告もあります。ESCRS多施設RCTでは前房内セフロキシム投与群で眼内炎リスクが約5分の1に低減しました。

Q 白内障手術の翌日に目が痛くなったら眼内炎ですか?
A

術翌日の軽度な疼痛・充血は正常な術後反応であることも多いです。強い眼痛・急速な視力低下・前房蓄膿を認める場合は眼内炎を疑い緊急受診が必要です。感染性眼内炎は術後3〜7日で強い眼痛を伴うことが多く、TASSは術後12〜48時間で疼痛が軽微であることが多いです。

Q 白内障手術から1年以上経ってから眼内炎になることはありますか?
A

C. acnesは水晶体囊内にバイオフィルムを形成して潜伏するため、術後数年経過してから発症する例も報告されています。術後長期間経過後でも遷延する前房炎症が認められる場合は遅発性眼内炎を考慮します。IOL後面の白色プラークを細隙灯顕微鏡で確認することが診断の手がかりです。

TASSとの鑑別(急性型で最重要)

Section titled “TASSとの鑑別(急性型で最重要)”
項目急性眼内炎TASS
発症時期術後3〜7日術後12〜48時間
眼痛強い(75%に疼痛)軽微または欠如
眼瞼腫脹特徴的通常なし
眼脂ありなし
角膜浮腫限局性が多いびまん性(輪部輪部
後眼部硝子体混濁網膜病変通常無関与
ステロイド反応不良迅速
経過数時間単位で急速悪化緩徐
鑑別疾患鑑別のポイント
TASS術後12〜48時間以内に発症。無菌性。びまん性角膜浮腫が特徴的
急性感染性眼内炎術後1週以内に発症。眼痛が強く眼瞼腫脹・眼脂を伴う。緊急手術を要する
内因性ぶどう膜炎遅発性で両眼性の場合に考慮。HLA-B27・サルコイドーシス等の全身検索が必要
交感性眼炎手術から時間を置いて発症し両眼性の場合に考慮
PUPPI(遷延性偽水晶体ぶどう膜炎感染・IOL偏位・残留水晶体片・再発性ぶどう膜炎を除外した原因不明の慢性虹彩毛様体4, 7)
IOL偏位・虹彩擦過IOL位置異常による機械的刺激。超音波生体顕微鏡UBM)で評価
残留水晶体術後残留した皮質・核片による炎症反応。後節観察で確認
Q 眼内炎とTASSはどう見分けますか?
A

発症時期(TASS:12〜48時間、急性眼内炎:3〜7日)、眼痛の程度(TASS:軽微、眼内炎:強い)、眼瞼腫脹の有無が重要な鑑別点です。角膜浮腫のパターンも参考になります(TASS輪部輪部のびまん性、眼内炎:限局性)。判断困難な場合は培養採取のうえ抗菌薬とステロイドを同時に開始します。

Q 遅発性眼内炎とPUPPIの違いは何ですか?
A

遅発性眼内炎はC. acnesなどの細菌感染が原因であるのに対し、PUPPIは感染・IOL偏位・残留水晶体片を除外した後に診断される原因不明の慢性虹彩毛様体炎です。両者は臨床的に類似するため鑑別には前房水・硝子体液の嫌気性菌培養やPCR検査が必要です。治療方針が異なるため(感染性:抗菌薬+手術、非感染性:ステロイド治療)、正確な鑑別が重要です。

7-1. 急性型の重症度別治療フロー

Section titled “7-1. 急性型の重症度別治療フロー”

ステージ1:前房炎症期(前房蓄膿なし)

  • 抗菌薬点眼の増量(1〜2時間ごと)
  • 毎日の経過観察、感染徴候の出現に注意
  • 悪化傾向があれば前房内注入へ移行

前房内注入(保険適用外):

  • 塩酸バンコマイシン:10mg/mL溶液 0.1mL
  • セフタジム:20mg/mL溶液 0.1mL

ステージ2:前房蓄膿期(硝子体混濁なし)

  • 前房洗浄+前房内・硝子体内注入(保険適用外):
    • バンコマイシン 1mg/0.1mL
    • セフタジム(モダシン注)2mg/0.1mL
  • 硝子体液の採取(培養・感受性検査)

ステージ3:硝子体混濁

  • 硝子体手術(可及的早期に施行)
    • 硝子体切除
    • 水晶体囊内洗浄+後囊切除
    • 抗菌薬硝子体内注入(バンコマイシン 1mg/0.1mL+セフタジム 2mg/0.1mL)
  • 炎症が著しくなければIOLは温存可

再発時の対応IOL摘出+水晶体囊全摘出

7-2. EVS(Endophthalmitis Vitrectomy Study)の推奨

Section titled “7-2. EVS(Endophthalmitis Vitrectomy Study)の推奨”

EVSは術後眼内炎の治療方針を定めた重要なRCTである8)

  • 手動弁(HM)以上の視力硝子体液吸引(tap)+硝子体内抗菌薬注入
  • 光覚弁(LP)以下の視力 → 経毛様体扁平部硝子体手術PPV)+硝子体内抗菌薬注入で有意に良好な転帰
  • 全身抗菌薬(アミカシン+セフタジム)の追加投与:EVSでは有意な追加効果なし8)

点眼(1日6回)

  1. レボフロキサシン点眼液(1.5%)
  2. セフメノキシム点眼用(0.5%)
  3. ベタメタゾン点眼液(0.1%)

全身投与(重症・全眼球炎リスク時)

  • イミペネム/シラスタチン:1回1g 1日2回 点滴静注5日間
  • レボフロキサシン錠:500mg 1錠 分1 5日間

遅発型は緊急で硝子体手術を行う必要はない。これは急性型との重要な違いである。まず精査を行い、TASSと内因性ぶどう膜炎をできるだけ除外したうえで、経過をみながら段階的に治療方針を決定する。

ステップ適応治療内容
Step 1:精査・除外診断全例硝子体液採取→嫌気培養・PCR;TASS・内因性ぶどう膜炎の除外
Step 2:保存的治療軽症・初発例抗菌薬点眼+ステロイド点眼;改善するか経過観察
Step 3:硝子体手術悪化・再発例硝子体切除+バンコマイシン・セフタジジム硝子体内注入
Step 4:IOL摘出+水晶体囊全摘出再再発・C. acnes確定例囊を残すと再発するため完全摘出が最終手段

保存的治療(Step 2)の薬剤

  • レボフロキサシン点眼液(クラビット 1.5%):1日6回
  • セフメノキシム点眼液(ベストロン点眼用 0.5%):1日6回
  • ベタメタゾン点眼液(リンデロン 0.1%):1日6回(抗炎症)

硝子体内注入・手術(Step 3)

  • バンコマイシン 1mg/0.1mL 硝子体内注入(保険適用外)
  • セフタジジム 2mg/0.1mL 硝子体内注入(保険適用外)
  • 硝子体切除術により硝子体混濁を除去するとともに、囊内の検体を採取して菌検査に提出する

IOL摘出・水晶体囊全摘出(Step 4)

C. acnesによる遅発性眼内炎は、IOL水晶体囊を温存すると再発するリスクが高い。再再発例やC. acnesが確定した例ではIOL摘出+水晶体囊全摘出が必要である。IOL摘出後は縫着IOLまたは強膜内固定IOLによる視力補正を検討する。

Q 遅発性眼内炎の治療に手術は必須ですか?
A

軽症・初発例では抗菌薬点眼とステロイド点眼による保存的治療で改善する場合があります。ただし悪化・再発例では硝子体手術が必要となります。C. acnesによる場合はIOL水晶体囊を残すと再発するため、最終的にはIOL摘出+水晶体囊全摘出が必要になることがあります。

急性型では硝子体手術を早期に施行することで視力予後は改善する。EVSでは光覚弁以下の視力例で早期PPV視力転帰を有意に改善した8)。腸球菌(Enterococcus)・グラム陰性桿菌(緑膿菌等)は進行が速く予後不良である。IOLの温存可否は炎症の重症度による。再発例はIOL水晶体囊の摘出が必要となる。

遅発型は急性型と比較して予後は良好だが、C. acnesによる場合は水晶体囊にバイオフィルムが残ると再発を繰り返す。バイオフィルムはC. acnesが産生する多糖体マトリックスで構成され、抗菌薬の浸透を妨げる。これが培養での検出困難と治療への抵抗性(再発リスク)の原因であり、最終的に水晶体囊の完全摘出が必要となる理由でもある。

感染予防は3段階のアプローチからなる。

  • 術前:眼表面の微生物量の低減(ポビドンヨード消毒)
  • 術中:微生物への曝露の最小化と前房内抗菌薬投与
  • 術後:創傷治癒までの細菌負荷の軽減
  • ポビドンヨード(PI)5〜10%を術前3分以上結膜囊内に点入。細菌量を有意に減少させる9)
  • PI 0.25%溶液を術中20〜30秒ごとに繰り返し洗浄する方法(島田テクニック)も有効9, 10)
  • PIアレルギー時:クロルヘキシジン0.02〜0.05%を代替として使用9)

9-3. 前房内抗菌薬投与(最もエビデンスのある予防策)

Section titled “9-3. 前房内抗菌薬投与(最もエビデンスのある予防策)”
  • セフロキシム 1mg/0.1mL:ESCRS多施設RCT(16,603眼)で不使用時に4.92倍の眼内炎リスク上昇6)。メタアナリシスでOR 0.26(95%CI 0.15〜0.45)11)。欧州では承認済製剤(Aprokam)あり
  • モキシフロキサシン:メタアナリシスでOR 0.29(95%CI 0.15〜0.56)12)。ベースライン眼内炎率0.07%を0.02%まで低下させた報告あり3)
  • バンコマイシン前房内投与出血性閉塞性網膜血管炎HORV)との関連が報告されており、予防目的での常用は強く推奨されない3, 11)
  • 大規模ネットワークメタアナリシスでは、前房内抗菌薬投与が術後眼内炎リスクを有意に低下させ、セフロキシム、モキシフロキサシンなどで予防効果が示されている2, 13)
  • 前房内抗菌薬使用時にトピカル抗菌薬を追加しても、眼内炎発症率のさらなる低下は一貫して示されていない9, 11, 14, 15)
  • 標準用量では角膜内皮への明らかな有害作用は大きくないとされるが、過量投与では角膜浮腫や内皮細胞密度低下が報告されている16, 17)
  • インジェクターによるIOL挿入(眼表面との接触を回避)
  • 術終了時に創閉鎖を確認し、灌流液注入で眼圧を約20mmHg以上にして終了
  • 灌流液への抗菌薬添加:予防効果は証明されていない
  • 術前後のトピカル抗菌薬点眼:眼表面細菌量を減らす報告があるが、眼内炎発症率を直接下げる根拠は前房内投与ほど強くない3, 9, 18, 19)。長期・反復投与では耐性菌選択に注意する18)
  • 前房内抗菌薬の標準化:セフロキシムは欧州で承認済製剤(Aprokam)があるが、米国・日本では未承認。院内調剤による希釈エラーが重篤な毒性の原因となる事例が報告されている3)
  • Drop-free chemoprophylaxis前房内抗菌薬のみのレジメンは点眼併用群と感染率に差がないとの報告がある3, 15)。ただし前向き比較試験は限られ、患者リスクや創部状態を踏まえた選択が必要
  • HORV出血性閉塞性網膜血管炎:バンコマイシンの前房内投与後に発症する遅発型眼毒性。発症機序は不明。ASCRS/ASRSの共同レジストリで症例集積中3)
  • 耐性菌動向:フルオロキノロン耐性CNSの増加が世界的に報告されており、予防レジメンの見直しが検討されている
  • 次世代シーケンシング(NGS):眼内マイクロバイオームの解析により培養陰性慢性眼内炎の診断率改善が期待される4)
  • 新規投与ルート:経毛様体(transzonular)および経扁平部(pars plana)の硝子体内抗菌薬投与が検討されているが、大規模RCTは不足している3)

予防戦略の詳細は別記事「白内障手術における感染予防」を参照。

Q 白内障手術後の眼内炎を予防する方法はありますか?
A

術前のポビドンヨード消毒と術終了時の前房内抗菌薬(セフロキシム 1mg/0.1mL等)投与が最もエビデンスの確立された予防法です。ESCRS多施設RCTではセフロキシム前房内投与により眼内炎リスクが約5分の1に低減されました。バンコマイシンは出血性閉塞性網膜血管炎HORV)リスクのため予防目的の常用は推奨されません。

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