腫瘍・病理
眼球やその周囲の組織(まぶた・結膜・眼窩など)にも、良性から悪性までさまざまな腫瘍が発生することがあります。このカテゴリでは、発生部位ごとの腫瘍の分類と、良性・悪性の鑑別や病理学的な特徴を扱います。
全37件の疾患
あ行
8件IgG4陽性形質細胞に富む線維炎症性病変が眼窩に発生する全身性疾患。涙腺の無痛性腫脹が最も多く、ステロイドやリツキシマブによる免疫抑制療法が治療の主体である。
アポクリン汗腺由来の良性嚢胞性腫瘍。眼瞼ではMoll腺から発生し、青灰色のドーム状結節として現れる。完全切除で予後良好。
酢酸セルロースフィルターペーパーを眼表面に適用し、表層上皮細胞を採取して解析する低侵襲の検査法。ドライアイ、角膜輪部幹細胞疲弊症、眼表面扁平上皮腫瘍などの診断に広く用いられる。
多発する非定型メラノサイト母斑と皮膚・眼黒色腫のリスク増加を特徴とする疾患。FAMMM症候群を含み、CDKN2A遺伝子変異との関連が知られる。
壊死性黄色肉芽腫(NXG)は非ランゲルハンス細胞組織球症の一種で、眼窩周囲に好発する黄色〜オレンジ色の結節を特徴とし、パラプロテイン血症やリンパ増殖性疾患との強い関連を有する稀な肉芽腫性疾患である。
壊死性筋膜炎は浅筋膜を侵し急速な皮膚壊死に至る重篤な感染症であり、眼窩周囲では8〜15%の死亡率と13.8%の視力喪失率が報告されている。早期の外科的デブリードマンと抗菌薬療法が治療の主軸となる。
眼窩横紋筋肉腫は小児で最も頻度の高い眼窩悪性腫瘍であり、急速に進行する眼球突出を特徴とする。手術・化学療法・放射線療法の三者併用により予後は大きく改善している。
眼附属器に発生する良性の好酸性細胞腫(オンコサイトーマ)の症状、診断、病理学的特徴、治療法について解説する。涙丘に最も多く発生し、全切除後の予後は極めて良好である。
か行
12件基底細胞癌(BCC)は表皮の基底細胞層に由来する悪性腫瘍で、眼瞼悪性腫瘍の中で最も頻度が高い。局所浸潤性は強いが遠隔転移は極めて稀であり、外科切除により良好な予後が期待できる。
局所強膜結節(FSN)は強膜から発生する良性の黄白色結節性病変である。かつては脈絡膜炎と考えられていたが、OCTにより強膜起源が判明した。大部分は無症状で経過観察のみで管理される。
結膜に発生するメラノサイト由来の腫瘍を包括的に解説する。良性の母斑(nevus)から前がん病変の原発性獲得性メラノーシス(PAM)、悪性の結膜メラノーマまで、分類・診断・治療・予後因子を詳述する。
結膜に発生するリンパ球由来の悪性腫瘍。大部分がB細胞性で、節外性辺縁帯リンパ腫(EMZL)が最多。サーモンピンク色の結膜腫瘤を特徴とし、放射線療法が第一選択。
結膜上皮から発生する良性腫瘍(乳頭腫など)、前癌病変(結膜上皮内腫瘍:CIN)、悪性腫瘍(浸潤性扁平上皮癌:SCC)を包括的に解説する。疫学、臨床所見、診断法、TNM分類、外科的切除・局所化学療法を含む治療法、病態生理について詳述する。
全身悪性腫瘍が外眼筋に血行性転移する稀な病態。乳癌・肺癌・皮膚メラノーマなどが原発となり、眼球運動制限や複視を引き起こす。予後不良であり、緩和的治療が中心となる。
眼窩に発生するシュワン細胞由来の稀な良性軟部組織腫瘍。外眼筋(特に下直筋)に好発し、眼球突出や複視を呈する。完全切除が第一選択治療である。
眼窩神経鞘腫はシュワン細胞由来の良性腫瘍で、全眼窩腫瘍の1〜2%を占める稀な疾患である。緩徐に進行する眼球突出を主訴とし、手術による全摘出が標準治療となる。
眼窩メラノーマは眼窩内に発生するメラノサイト由来の悪性腫瘍であり、原発性と二次性に分類される。原発性は全眼窩腫瘍の1%未満と極めて稀で、手術と補助放射線療法が標準治療である。
眼窩に発生するリンパ腫の病態・診断・治療を解説。最多のMALTリンパ腫から高悪性度のDLBCLまで、組織型別の特徴と治療方針を網羅する。
眼瞼皮膚のメラノサイトから発生する悪性腫瘍。全皮膚黒色腫の1%未満と稀だが、予後は腫瘍の厚さと病期に大きく依存する。
眼瞼の有棘層から発生する悪性腫瘍で、眼瞼悪性腫瘍の中で2番目に多い。紫外線曝露や免疫抑制がリスク因子であり、外科的完全切除が標準治療である。
さ行
4件色素性乾皮症(XP)はDNA修復欠損による常染色体劣性遺伝疾患で、患者の93%に眼科的異常が認められる。畏光・角膜混濁から結膜扁平上皮癌まで多彩な眼症状を呈し、紫外線防御と早期腫瘍検出が管理の要となる。
眼瞼の脂腺(主にマイボーム腺)から発生する稀で悪性度の高い腫瘍。霰粒腫や眼瞼炎に類似し診断が遅れやすいため「偉大なる偽装者」と呼ばれる。
眼周囲の悪性腫瘍(メラノーマ、脂腺癌、有棘細胞癌、メルケル細胞癌など)における微小転移検出のためのセンチネルリンパ節生検の適応、手技、転帰について解説する。
先天性網膜色素上皮肥大(CHRPE)は網膜色素上皮の先天性過誤腫で、通常は良性・無症状である。非定型バリアントは家族性大腸腺腫症(FAP)と関連し、大腸癌の早期スクリーニングマーカーとして重要な役割を担う。
た行
2件な行
1件は行
2件ま行
4件成人で最も多い原発性眼内悪性腫瘍であるブドウ膜メラノーマのうち、脈絡膜および毛様体から発生する後部ブドウ膜メラノーマについて、診断・治療・予後を解説する。
ミュア・トール症候群(MTS)はリンチ症候群の亜型で、皮膚脂腺腫瘍と内臓悪性腫瘍を合併する常染色体顕性遺伝疾患である。DNAミスマッチ修復遺伝子の変異が原因で、早期診断と多臓器サーベイランスが重要となる。
メルケル細胞に由来する稀で悪性度の高い神経内分泌腫瘍。頭頸部に好発し、5〜10%が眼瞼に発生する。急速に増殖しリンパ行性転移を生じやすい。
網膜・網膜色素上皮複合過誤腫(CHRRPE)は、網膜とRPEのグリア・血管・色素上皮から構成される稀な良性腫瘍で、主に小児の乳頭傍・黄斑部に発生し、視力低下や斜視を引き起こす。
ら行
4件良性分葉状内顆粒層増殖(BLIPs)は、網膜の内顆粒層から発生する新しい良性網膜内腫瘍であり、網膜色素上皮先天肥大(CHRPE)を伴うことがある。2022年に初めて報告された極めてまれな疾患で、介入は不要とされる。
涙腺に発生する腫瘍の種類、症状、診断法、治療法について解説。多形腺腫や腺様嚢胞癌などの上皮性腫瘍から悪性リンパ腫まで、分類ごとの特徴と管理方針を概説する。
涙腺に発生する稀な悪性上皮性腫瘍で、神経周囲浸潤と遠隔転移を高頻度に伴う。手術と放射線療法の併用が標準治療であるが、長期予後は不良である。
涙嚢に発生する良性・悪性腫瘍の総称。上皮性腫瘍が最多で、約55%が悪性。慢性涙嚢炎と誤診されやすく、診断遅延が予後不良につながる。