中心視野障害
微笑み返し不能:正面の表情を認識できない。
アイコンタクト困難:視線が手の位置と一致しない。
文字への無関心:文字に興味を示さない行動が見られる。
顔の向き:顔を左右どちらかに向けて正面を見ようとする。
「ロービジョン」とは、成長・発達あるいは日常生活および社会生活に何らかの支障をきたす視機能または視覚であり、盲も含めた視覚として解釈される。
「ロービジョンケア」とは、失明も含めた視覚障害のために日常生活・就学・職業・スポーツ・文化的活動等に支障をきたしている状況に対し、何らかの方法によってこれらの問題を解決する支援行為の総称である。
「リハビリテーション」とは、障害により失われた機能や能力などを可能な限り元の状態に回復させ、可能な限り元の社会生活に復帰させることをいう。一般的には種々の機能が発達している成人を対象とした概念である。
「療育」とは、医療と教育や福祉・保健の地域的ネットワークと定義される。医師・看護師・視能訓練士・臨床心理士・ソーシャルワーカーなどの医療関係者と、保育・教育・福祉・保健担当者が緊密に連携して視覚障害児の成長を育む。
WHO定義による視覚障害の区分は以下のとおりである。
視覚障害の程度は日常生活への影響で二分される。重度(視力0.02未満)は視覚をほぼ使えない状態であり盲とも呼ばれる。軽度(視力0.02以上〜0.3未満)は視覚を使える状態で、狭義の弱視に相当する。
視覚障害児(18歳未満)の推定数は約2万人で、身体障害者手帳を所持しているのは約5千人とされる(2006年、中江ら調査)。全国盲学校児童・生徒(15歳以下、3,746名)を対象とした調査(2010年報告)では、視覚障害の原因として先天異常が57.1%(第1位)、未熟児網膜症(酸素中毒)が17.6%(第2位)、不明9.0%、全身病6.3%、腫瘍5.9%の順であった。先天異常の内訳には家族性滲出性硝子体網膜症・小眼球・視神経低形成・網膜分離症・白皮症などが含まれる。小児の視覚障害の約90%は1歳未満で発症する。
日本眼科医会は治療と並行した生活訓練・技能習得・就労支援の重要性を整理し、ロービジョンケアを眼科プライマリケアの一環と位置づけている2)。スマートサイトは悩みに応じた相談先を紹介する地域連携リーフレットの枠組みであり、眼科から地域支援機関へつなぐ入口として活用されている1)。
| 原因疾患 | 割合 |
|---|---|
| 先天異常 | 57.1% |
| 未熟児網膜症 | 17.6% |
| 不明 | 9.0% |
| 全身病 | 6.3% |
| 腫瘍 | 5.9% |
ロービジョンケアは盲を含む全ての視覚障害者を対象とした支援行為の総称であり、年齢を問わない。リハビリテーションは成人を対象に失われた機能の回復と社会復帰を目指す概念である。小児(特に0〜3歳)では「療育」という概念が用いられ、医療・教育・福祉・保健が地域ネットワークとして連携する。
視覚障害の症状は障害部位によって大きく異なる。
中心視野障害
微笑み返し不能:正面の表情を認識できない。
アイコンタクト困難:視線が手の位置と一致しない。
文字への無関心:文字に興味を示さない行動が見られる。
顔の向き:顔を左右どちらかに向けて正面を見ようとする。
周辺視野障害
近くのものへの不注意:つまずく、ぶつかる。
ボール投げ困難:サッカーはできるがボール投げが不得意。
暗所への苦手意識:明るさの変化で行動が大きく変わる。
羞明(まぶしさ):戸外での光への過敏。
成人のロービジョンでは読書・移動・就労・書類記入・情報取得が主な困りごととなる。困りごとの種類・医療面の状況(病名・視力・視野・進行性の有無)・手帳の有無・生活場面を整理することが相談の第一歩となる。
なる。WHO定義ではロービジョンは矯正視力0.05以上0.3未満とされており、「視力が多少ある」状態でも対象となる。また視野障害のみで視力が比較的保たれている場合(緑内障末期など)もロービジョンケアの対象である。残存視機能の活用こそが支援の出発点となる。
視覚の成り立ちは、視刺激が眼球から視路を経て後頭葉視覚中枢に達するまでの入力系・統合系・出力系で完了する。視覚発達はおおよそ8歳で完成し、0〜3歳が最重要期である。この時期に適切なハビリテーションを行うことで視機能の発達を促すことができる。早期に発症した視覚障害では、早期介入が予後に直結する。
視機能評価は年齢と協力度に応じて選択する。
| 対象 | 主な検査 |
|---|---|
| 協力可能な小児・成人 | 視力・視野・コントラスト感度・色覚 |
| 乳幼児 | 固視・追視運動・対光反射・ERG・VEP・EOG |
| 読書機能評価 | MNREAD-J |
| 偏心視 | PRL(偏心視域)同定 |
テレビを観る距離・家族の識別ができる距離・明るさによる行動変化・戸外での羞明の有無などを観察する機能的視覚評価(functional vision assessment)は、日常生活支援の方向性を決める上で重要である。
MNREAD-J(エムエヌリード・ジェイ)は日本語版の読書効率評価法であり、最大読書速度・臨界文字サイズ・読書視力の3指標を測定する。通常の基準として小学校1年生では200文字/分の読書速度が目安とされる。読書補助具の適合や教育支援の必要性を客観的に評価できる。
黄斑機能障害のある患者では、中心窩以外の網膜部位(PRL)が注視に使われる。PRLを同定し、それを活用した固視訓練を行うことでリハビリテーションの効果を高めることができる。
日本語版の読書効率評価法であり、最大読書速度・臨界文字サイズ・読書視力の3つを測定する。小学1年生では200文字/分が一つの基準となる。拡大鏡や拡大読書器の処方適合、就学上の配慮の必要性を客観的に評価する際に活用される。

主な視覚的補助具には、卓上式拡大鏡(ルーペ)・単眼鏡・拡大読書器・遮光眼鏡・タブレット端末(iPad等)がある。ルーペは3〜4倍の低倍率から、単眼鏡は6〜8倍程度で中〜遠距離の観察に用い、拡大読書器は内蔵カメラで対象を高倍率にモニターへ映し出す。遮光眼鏡はまぶしさの主原因である短波長の青色光(500nm未満)を選択的にカットし、サングラスと異なり明るさ感の変化を抑えながら羞明を軽減する。タブレット端末やスマートフォンの音声読み上げ機能(VoiceOver等)・拡大機能・電子教科書も活用できる。いずれも視力・視野・コントラスト感度の評価に基づき、視能訓練士の指導のもとで残存視機能に合わせて選定する。
各補助具の特徴・倍率の目安・選び方、遮光眼鏡の処方意見書(3項目)やレンズの種類、MNREAD-J による読書評価の詳細は、補助具選定の各論を正本としてまとめている。
補装具(矯正用・遮光用・弱視用眼鏡、義眼、白杖など)は自立支援給付として市区町村から支給され、利用者負担は原則1割である。拡大読書器などは日常生活用具として支給されるが、品目や金額は市町村が決定するため自治体によって異なる5)。横浜市の案内では、日常生活用具は原則1割負担・事前申請が必要とされており、情報・意思疎通支援用具の例として拡大読書器が挙げられている5)。
補装具・日常生活用具の品目ごとの上限価格(基準額)・耐用年数の一覧は、補助具選定の各論を正本としてまとめている。
点字図書・録音図書・対面朗読・デイジー(サピエ)などの読書・情報支援は、図書館や点字図書館が担う。横浜市では市立図書館で録音・点字資料等の貸出と対面朗読を実施し4)、大阪市立早川福祉会館点字図書室では点字図書・録音図書の製作・貸出や対面読書が行われ、第四種郵便物扱いで送料が無料になる6)。全国の点字図書館ではデイジーネットワーク(サピエ)による点字・録音データの提供も整備されている3)。スマートサイトを起点とした相談の流れや制度の詳細は、支援制度の各論にまとめている。
まず身体障害者手帳を取得することが前提となる。その後、居住地の市区町村役場の福祉担当窓口で補装具費の支給申請を行う。眼科医による処方意見書(遮光眼鏡の場合は3項目の記載が必要)を添付する。利用者負担は原則1割で、低所得者等に対する負担軽減措置もある。購入前の事前申請が原則であるため、購入後の申請は認められない場合がある5)。
視覚障害の程度に応じて4段階の就学先がある。
| 就学先 | 対象の目安 |
|---|---|
| 特別支援学校(視覚障害) | 両眼矯正視力0.3未満、または高度視覚障害で拡大鏡等でも視覚認識不可能な児童生徒 |
| 弱視特別支援教室(弱視学級) | 拡大鏡等によっても通常の文字・図形認識が困難な児童生徒 |
| 弱視通級指導教室 | 弱視学級とほぼ同等の視覚障害で通常学級の学習に概ね参加できる者 |
| 通常の学級 | 視覚障害児の実態に応じた個別配慮で対応可能な者 |
拡大教科書の無償給付は2010年の法改正により整備されている。就学先の選択には保護者・眼科医・教育委員会・特別支援教育コーディネーターが連携して判断する。
視覚障害児・者の支援制度の利用手順は以下のとおりである。
視覚障害者の就業率は22.9%であり(2006年厚生労働省)、職業別では三療(あん摩・マッサージ・指圧・はり・きゅう)従事者が最も多く29.6%を占める。
ロービジョンケアの各テーマは、以下の各論で詳しく解説している。