一般的結膜異物の症状
眼痛・異物感:飛入直後から出現する。強さは異物の大きさ・形状による。
流涙:反射性流涙が著明で、瞬目を繰り返す。
円蓋部異物:知覚が鈍く、大きな異物でも愁訴が比較的少ない。
角膜擦過痕:フルオレセイン染色で線状の染色が見られる。対面する結膜側に異物が存在する。
結膜異物は、上下の瞼板結膜・球結膜・円蓋部結膜に異物が付着・刺入した状態である。眼科外来新患の4.4%を占め、75%は男性である。角膜異物と異なり、結膜は痛覚が比較的鈍く、特に円蓋部では大きな異物でも自覚症状が軽度にとどまる場合がある。
結膜異物の平均サイズは縦0.52mm・横0.34mm・厚さ0.25mmである。厚さ0.5mmを超える異物は涙で浮き上がり、瞬目とともに自然排出されることが多い。
| 部位 | 割合 |
|---|---|
| 上瞼板結膜 | 58% |
| 異物溝 | 23% |
| 球結膜 | 7% |
| 下瞼板結膜 | 5% |
| 円蓋部結膜 | 4% |
上瞼板結膜が最多(58%)であり、上眼瞼翻転なしでは見逃すことがある。
| 種類 | 割合 |
|---|---|
| 木屑・藁・樹皮 | 27% |
| 鉄 | 26% |
| 砂・小石 | 16% |
| 灰・炭 | 5% |
| スクラブ石鹸 | 5% |
| 毒針毛(毒毛虫・繭・脱皮殻由来) | 3% |
| 星状毛(植物の葉・茎の毛) | 0.4% |
木屑・鉄・砂など無機・有機の微小異物が大半を占める。毒針毛は頻度3%と少ないが、残存すると深刻な合併症を引き起こす。星状毛(植物の葉や茎の毛)は0.4%と最も稀だが、ophthalmia nodosaの原因となる。
まず眼をこすらないことが最重要である。こすることで異物が角膜を傷つけ、上瞼板結膜や円蓋部へ移動するリスクがある。清潔な水で眼を洗い流すか、湿らせた綿棒で軽く取り除いてみる。取れない場合や痛みが続く場合は眼科を受診する。無理な除去は角膜損傷のリスクがあるため避ける。

主な自覚症状は眼痛・異物感・流涙である。棘のある草の種や穂が刺入した場合は強い痛みを訴える。円蓋部は知覚が鈍いため、大きな異物が存在しても愁訴が少ない場合がある。
フルオレセイン染色で染まる角膜擦過痕が確認された場合、対面する結膜部位に異物が存在することが多い。
一般的結膜異物の症状
眼痛・異物感:飛入直後から出現する。強さは異物の大きさ・形状による。
流涙:反射性流涙が著明で、瞬目を繰り返す。
円蓋部異物:知覚が鈍く、大きな異物でも愁訴が比較的少ない。
角膜擦過痕:フルオレセイン染色で線状の染色が見られる。対面する結膜側に異物が存在する。
毒針毛を疑う所見
角膜の線条上皮剥離:無数の細かい線状上皮剥離がフルオレセインで検出される。
強い眼痛:毒針毛の返し棘による刺激で持続的な強い痛みが続く。
異物溝・下瞼板結膜の黒い針毛:太さ約0.03mm・長さ0.5〜1.5mmの黒い針毛が観察される。
洗眼で改善しない:毒針毛は水・酸・アルカリに不溶であり、洗眼では除去できない。
毒毛虫(チャドクガ・マッカレハ・ヒロヘリアオイラガ等)の毒針毛は、脱皮殻や繭からも抜け落ちる。風で飛散する、洗濯物に付着する、庭木の剪定中に目に入るなどの経路がある。太さ0.03mmと極めて細いため、飛入に気づかないことがある。
屋外作業(農業・林業・園芸)では木屑・藁・植物片が多く飛散する。金属加工業・建築業では鉄粉・金属片による受傷が多い。日常生活では砂・小石・灰・炭などが飛入しうる。スクラブ石鹸は洗顔時に粒子が眼に入ることがある。
毒毛虫の毒針毛は以下の経路で眼に到達する。
毒毛虫本体に接触しなくても、脱皮殻・繭・洗濯物への付着を介して間接的に眼に入ることがある。毛虫が多い季節(春〜夏)は特にリスクが高い。
星状毛は植物(毛虫ではなく植物の葉・茎の毛)に由来する。結膜に刺入すると肉芽腫性炎症(ophthalmia nodosa)を引き起こす。頻度は0.4%と少ないが、細隙灯顕微鏡だけでは発見が困難であり、フルオレセイン染色が必須となる。
細隙灯顕微鏡だけでは上瞼板結膜に刺さった星状毛や透明な小さな塵は発見しにくい。必ずフルオレセインを点眼して見落としを避ける必要がある。フルオレセインに染まる角膜擦過の痕は異物の存在を示唆し、それに対面する部位に異物があることが多い。
結膜異物の58%は上瞼板結膜に存在する。上眼瞼翻転(じょうがんけんほんてん)なしには半数以上の異物を見逃す可能性がある。上眼瞼を翻転して瞼板結膜全体と上円蓋部を観察することが必須の手技である1。瞼板結膜下に長期間遺残した異物は、結膜肉芽腫や辺縁性角膜炎を引き起こすことが報告されている2。
結膜囊内に毒針毛を発見した場合、硝子体への侵入を除外するために網膜硝子体の精査が必要である。毒針毛は水・酸・アルカリに不溶で、表面の返し棘により組織内を一方向に前進するため、硝子体に到達している可能性がある34。
上眼瞼翻転(じょうがんほんてん)という手技で上まぶたを裏返す。結膜異物の58%は上瞼板結膜にあるため、この手技なしでは見逃すことがある。眼科医が行う標準的な診察手技である。患者に眼球を下方に向けてもらい、上眼瞼の皮膚を外側に引っ張りながら裏返す。
大部分の結膜異物は点眼麻酔なしで、湿綿を八つ折りにしてその角でこすり取ることができる。湿綿を広げると中央に異物が載っているため、患者に見せてインフォームドコンセントに活用できる。
鉄粉異物は点眼麻酔後、異物針を使って鉄粉を除去する。沈澱した錆は異物針の先端で削り取る。
一般的異物の除去法
点眼麻酔:原則不要。
使用器具:湿綿(八つ折りにしてその角を使用)。
手技:湿綿の角で異物をこすり取る。広げた湿綿で患者にインフォームドコンセント。
鉄粉の場合:点眼麻酔後、異物針で除去。錆は異物針先端で削り取る。
毒針毛の除去法
点眼麻酔:必須。
使用器具:無鉤鑷子(むこうせっし)。
手技:露出している根元をはさみ、静かに引き抜く。
種類別の注意:マッカレハは抜去容易。ヒロヘリアオイラガは返し棘が鋭く折れやすいため、異物針で切開しながら掻き出す。球結膜下の毒針毛は眼内侵入リスクがあり、完全摘出が必須。
| 毒毛虫の種類 | 返し棘の特徴 | 除去の難易度 | 手技 |
|---|---|---|---|
| マッカレハ | 短く、先端が鈍い | 容易 | 無鉤鑷子で引き抜く |
| ヒロヘリアオイラガ | 鋭く、先端が尖っている | 困難(折れやすい) | 異物針で切開しながら掻き出す |
| 球結膜下に存在する場合 | — | 高難度 | 眼内侵入の危険性あり。完全摘出が必須 |
点眼麻酔後、眼球を下方に向けさせ上眼瞼を翻転して眼瞼を少し押さえると、異物の一部が顔を出す。草の穂など棘のある異物は、断端を無鉤鑷子ではさみ、棘に逆らわないように侵入時と同じ方向に引き出す。
異物摘出後は、どの症例も必ず眼瞼を翻転してフルオレセインと残留結膜異物を洗い流し、抗菌眼軟膏を点入する。異物摘出時に切開を施した場合は再来を指示し、抗菌点眼液(1日3回点眼)と抗菌眼軟膏(就寝前点入)を処方する。
毒針毛は返し棘構造により組織内を一方向に前進する。結膜→強膜→硝子体方向へ移動し、硝子体に到達すると数年の経過で重篤なぶどう膜炎を発症する。結膜囊内で毒針毛を発見した場合は網膜硝子体の精査と完全摘出が必要である。
異物が飛入すると、痛みで激しい流涙と瞬目が誘発される。厚さ0.5mm以上の異物は涙で浮き上がり、瞬目とともに掃き出される。眼をこすると大きな異物は円蓋部に移動する。
角膜表面に残った異物のうち、表面が粗いものは瞼板結膜に移り固定される。丸い異物は瞼板結膜と眼球の間の異物溝に納まる。これが異物分布において上瞼板結膜58%・異物溝23%という頻度につながる。
毒針毛の特殊性は以下の3点に集約される。
この一方向性前進の機序が、発見時には結膜にあった毒針毛が数年後に硝子体で見つかるという臨床経過を説明する3。近年では、樫の行進毛虫(oak processionary caterpillar)の毒針毛による眼障害について、最長1年間の臨床経過を追跡した観察研究も報告されている6。
星状毛(植物の微細な毛)が結膜に刺入すると、異物周囲に肉芽腫が形成される(ophthalmia nodosa)。肉芽腫は角膜・虹彩・硝子体にまで及ぶことがあり、慢性炎症が持続する。細隙灯顕微鏡だけでは透明で小さいため発見が困難であり、フルオレセイン染色が診断に不可欠である。
caterpillar-induced ophthalmiaは世界各地からの症例報告が蓄積されているが、体系的な治療指針やエビデンスに基づく予後データはまだ限られている。毒針毛の硝子体内残存・移動に対する硝子体手術の適応と時機に関する研究が進められている。
ophthalmia nodosaの重症度分類(結膜型・角膜型・ぶどう膜型・汎眼球型)の標準化が国際的に議論されている。特に角膜・前房内の星状毛に対する外科的管理の適応と方法についてのコンセンサスが求められている。
現在、上眼瞼翻転は異物診断の標準手技だが、手技に習熟が必要であり患者の不快感も伴う。前眼部OCTを活用した非接触的な上瞼板結膜観察法の可能性が検討されている。
Stevens S. Ophthalmic practice. Community Eye Health. 2005;18(55):109-110. PMID: 17491771. PMCID: PMC1705681. ↩
Babu K, Maralihalli REY. Insect wing tarsal foreign body causing conjunctival granuloma and marginal keratitis. Indian J Ophthalmol. 2009;57(6):473-474. PMID: 19861755. PMCID: PMC2812772. ↩
Ascher KW. Mechanism of locomotion observed on caterpillar hairs. Br J Ophthalmol. 1968;52(2):210. PMID: 5300404. PMCID: PMC506555. ↩ ↩2
Joshi D. Ophthalmia nodosa with intraocular caterpillar setae. Med J Armed Forces India. 2011;67(2):167-168. PMID: 27365792. PMCID: PMC4920753. ↩ ↩2
Al Somali AI, Otaif W, Afifi TM, et al. Ophthalmia nodosa secondary to multiple intraocular caterpillar hairs in a 2-year-old girl. Saudi J Ophthalmol. 2021;34(3):230-232. PMID: 34085024. PMCID: PMC8081091. ↩
Leclaire MD, Vietmeier FE, Treder M, Eter N, Baydoun L. Ocular involvement of oak processionary caterpillar hairs: Clinical outcome up to one year. Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol. 2024;263:771-779. PMID: 39532718. PMCID: PMC11953161. ↩