高頻度(80〜99%)
小眼球・無眼球:完全型の60〜88%にみられる。モザイク型では23%4)。臨床的に眼球を確認できないがMRIで眼球構造を認めた例も報告されている。
眼距離異常:完全型の83%、モザイク型の67%に眼距離短縮を認める4)。

13トリソミー(パトウ症候群)は、13番染色体が3本存在する染色体異常である。1960年にPatauらが初めて報告した。眼球奇形を含む広範な多発奇形と、重度の精神発達遅滞を伴う。
常染色体トリソミーのなかで3番目に多く、最も致死性が高い。発生頻度は出生児5,000〜12,000人に1人で、欧州では1:5,300、米国では1:14,000と報告されている6)。女性がわずかに高頻度である。ほとんどが非遺伝性で孤発性に発生する。
生存期間の中央値は約10日で、28%が生後1週以内、44%が1か月以内、86%が1年以内に死亡する5)。5年生存率は9.7%、10年生存率は12.9%と報告されている7)。主な死因は心肺停止(69%)、心疾患合併症(13%)、肺炎(4%)である。
生存期間の中央値は約10日で、40%が1か月、約10%が1年まで生存する。5年生存率は9.7%、10年生存率は12.9%と報告されている。近年では積極的治療を受けた児の1年生存率は68.6%に達するとの報告もあり、モザイク型・部分型・女児・正期産児では予後が良好な傾向がある。
出生時〜新生児期に外表奇形として発見される。重度知的障害を伴うため、患児自身が視覚症状を訴えることは通常ない。
眼病変は約50%にみられ、臨床的に有意な所見を呈する6)。
高頻度(80〜99%)
小眼球・無眼球:完全型の60〜88%にみられる。モザイク型では23%4)。臨床的に眼球を確認できないがMRIで眼球構造を認めた例も報告されている。
眼距離異常:完全型の83%、モザイク型の67%に眼距離短縮を認める4)。
中頻度(30〜79%)
コロボーマ・白内障:完全型の63〜75%、モザイク型の10〜11%に認める4)。虹彩コロボーマは通常鼻下側に位置し、全体の約33%にみられる。
その他:睫毛異常、虹彩低形成、深在眼、視神経萎縮、網膜異形成。
完全型の13トリソミーでは、小眼球・無眼球が60〜88%、コロボーマ・白内障が63〜75%、眼距離短縮が83%と極めて高頻度である。モザイク型では小眼球23%、コロボーマ10〜11%と軽度になる。眼病変全体では約50%に臨床的に有意な所見を認める。
13トリソミーは13番染色体の数的異常により発症する。以下の4つの病型がある。
| 病型 | 頻度 | 機序 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 完全型 | 約80% | 減数分裂不分離(91%が母方由来) | 典型的な重症像 |
| 転座型 | 約20% | ロバートソン転座 | 遺伝する可能性あり |
| モザイク型 | 約5% | 有糸分裂不分離 | 軽症5) |
| 部分型 | 稀 | 部分的重複 | 軽症 |
主なリスク因子は母体年齢の上昇であり、35歳以降で顕著に増加する。
長期生存に関連する因子として、モザイク型、部分型、女児、正期産であることが報告されている3)7)。
モザイク型は完全型に比べて軽症であることが多い。小眼球は完全型の60〜88%に対しモザイク型では23%、コロボーマ・白内障は完全型の63〜75%に対しモザイク型では10〜11%にとどまる。生存期間も長い傾向があり、6歳まで生存したモザイク型の症例も報告されている。
| 検査 | 時期 | 内容 |
|---|---|---|
| 胎児超音波 | 第1〜2三半期 | 全前脳胞症、眼距離短縮、水晶体濃度上昇、心奇形の検出1) |
| 母体血清検査 | 第1三半期 | NT増大、PAPP-A低下、β-hCG低下 |
| 非侵襲的出生前検査(NIPT) | 第10週以降 | スクリーニング目的。確定診断には不十分 |
| 羊水穿刺・絨毛採取 | 第15〜20週/第10〜13週 | 核型分析による確定診断 |
臨床的特徴(多発奇形の組み合わせ)に基づき13トリソミーを疑い、末梢血の核型分析で確定する。
臨床的に無眼球と判断された場合でも、MRIで残存眼球構造が認められることがあるため、画像評価が有用である。
13トリソミーは生命予後が不良であるため、従来は積極的治療の適応とされないことが多かった。しかし近年では新生児集中治療と心臓手術の進歩により、予後が改善しつつある。
2023年のAATS(米国胸部外科学会)では、13トリソミー児に対しても個別化された治療計画を推奨する方針が示された。
生命予後の問題から積極的な眼科治療が行われないことも多いが、近年では生存期間の延長に伴い、緑内障や白内障など介入可能な眼疾患に対して治療が検討されるようになってきている。個々の児の全身状態と予後を考慮し、個別に判断される。
13トリソミーの表現型は、重複した13番染色体上の遺伝子が異常なレベルで発現することにより引き起こされる。眼の発生過程における異常は、障害される時期によって異なる表現型を呈する。
胎生第3〜4週
視窩→視胞の形成期:この時期の障害は無眼球症につながる。視溝が外方へ伸展し眼胞を形成する過程が阻害される。
胎生第4〜6週
水晶体胞・眼杯の形成期:無水晶体症、嚢胞眼、網膜層構造の乱れが生じうる。第6週に生じる胎生裂の閉鎖不全はコロボーマ、小眼球、核白内障の原因となる。
胎生第7〜12週
二次水晶体線維・硝子体・神経堤細胞の発達期:前眼部形成異常が生じる。第10〜12週には虹彩・毛様体が発達し、帯状白内障や前眼部奇形を生じうる。
水晶体血管膜の退化不全は胎児遺残血管の原因となる。
全前脳胞症は前脳の分割障害であり、13トリソミーの24〜45%に合併する1)。眼距離短縮はこの全前脳胞症と密接に関連しており、超音波検査で眼距離短縮と水晶体濃度の上昇が検出されることがある1)。
Moran-Barrosoら(2021)は、モザイク型と部分型が混在する12歳女児の症例を報告した。複雑な核型を示し、クロモスリプシス(染色体の破砕と再配列)の関与が示唆された4)。
Albarら(2021)は、モザイク型13トリソミーの6歳男児で深在眼と小眼瞼裂のみの軽度眼所見を報告した5)。モザイク型の表現型の多様性を示す症例である。
Kramerら(2022)は、完全型13トリソミーでありながら思春期まで生存した長期生存例を報告し、積極的管理の効果を示した7)。
McTaggartら(2021)は、小眼球・緑内障・白内障のため眼科フォロー中の35か月児の症例を報告した3)。長期生存例では眼科的管理の重要性が増してきている。
今後、積極的治療の適応拡大に伴い、長期生存例に対する眼科的ケアの需要が増加する可能性がある。