浅層手動法(SMK)
方法:25〜27G針で角膜表層に反復穿刺し色素を沈着させる
利点:小範囲の修正やタッチアップに有用
限界:色褪せしやすく現在は単独使用は稀
「眼のタトゥー」には医学的に異なる2つの概念がある。
両者は目的・手技・安全性が根本的に異なるため、明確に区別する必要がある。
角膜色素注入術は眼科専門医が行う医学的手技であり、角膜白斑や虹彩欠損の治療に用いられます。一方、眼球タトゥーは結膜下にインクを注入する身体改造であり、専門的な医学訓練を受けていない施術者が行うことが多く、重篤な合併症のリスクが非常に高い処置です。
KTP自体は治療手技であり、疾患ではない。術後に以下の症状が生じうる。
眼球タトゥー後に認められうる所見は以下の通りである3)。
| 適応 | 具体例 |
|---|---|
| 美容的改善 | 角膜白斑、角膜混濁 |
| 機能的改善 | 虹彩欠損、無虹彩症 |
| 症状軽減 | PI後のグレア・複視 |
角膜色素注入術は、コンタクトレンズや再建手術では改善が見込めない患者に有用な代替手段となる2)。近年では純粋に美容目的で眼の見た目の色を変えるための施術が増加している1)2)。
Alioらの研究では以下の除外基準が設定された1)。
KTPの手技は色素を配置する深さにより、浅層法と層間法に大別される2)。
浅層手動法(SMK)
方法:25〜27G針で角膜表層に反復穿刺し色素を沈着させる
利点:小範囲の修正やタッチアップに有用
限界:色褪せしやすく現在は単独使用は稀
浅層自動法(SAK)
方法:自動マイクロパンクチャー装置で120μm深度まで色素を沈着させる
利点:手動法より均一で迅速
限界:特に明るい色で1か月以内に色褪せが生じうる
手動層間法(MIK)
方法:ダイヤモンドブレードで角膜ポケットを作製し色素を充填する
利点:色素保持期間が長い
限界:手技が複雑で純粋美容目的には不向き
フェムト秒レーザー補助下KTP(FLAAK)
方法:フェムト秒レーザーで角膜トンネルを作製し、微細化鉱物色素を注入する
利点:色素の均一性・保持期間に優れ、安全性が高い
適応:治療目的・純粋美容目的の両方
Alioらの報告1)に基づくFLAAKの典型的パラメータは以下の通りである。
針を用いて球結膜下にインクを複数回注入する。皮膚タトゥーと同じインクが使用されることが多い3)。医学的適応のない身体改造であり、眼科学的には推奨されない。
Alioらの234眼シリーズ(治療目的を含む)では合併症率12.82%であり、大部分は光過敏(49%)、色褪せ(19%)、新生血管(7%)であった2)。
166眼の純粋美容目的FLAAK研究1)では、以下の結果が得られた。
| 評価項目 | 結果 |
|---|---|
| 視力変化 | 有意差なし |
| 眼圧変化 | 有意差なし |
| 視野(MD) | 有意差なし |
| 内皮細胞減少 | 3.5%(1年) |
| コントラスト感度 | 低下あるが正常範囲 |
| 患者満足度 | 84.3% |
166眼(83例)に対し12か月の追跡を行い、感染・ぶどう膜炎・角膜穿孔・新生血管・色褪せによるリタッチは認められなかった。2例で4か月間の光過敏とドライアイが生じたが薬物治療で改善した。1)
FLAAK後のリタッチ(色の再修正)は比較的頻度が高く、D’Oriaらの報告では35.4%が少なくとも1回のリタッチを要した2)。
これまでFLAAKに報告された唯一の重篤合併症は、LASIK既往眼における両側性の進行性角膜拡張症であり、角膜クロスリンキング(CXL)で安定化した2)。
眼球タトゥーでは報告17症例中11例(68%)で眼球穿孔が発生した3)。穿孔に伴う合併症は以下の通りである。
穿孔以外にも以下が報告されている3)。
眼内にインクが到達した場合、早期除去が推奨される3)。
フェムト秒レーザー補助下の角膜色素注入術(FLAAK)は、経験豊富な眼科専門医が適切な適応判断のもとで行う場合、比較的安全な手技とされています。ただし、内皮細胞の軽度減少やコントラスト感度の低下が報告されており、長期的な安全性データはまだ十分ではありません。必ず専門医と十分に相談した上で判断してください。
角膜タトゥー検体の電子顕微鏡観察では、電子密度の高い色素顆粒が角膜細胞(keratocyte)内およびコラーゲン線維間に存在する。Sekundoらの報告では、非金属染料による角膜タトゥーの色素粒子が術後61年経過しても角膜細胞の細胞膜内に保持されていた。
現在最も広く使用される第3〜4世代の微細化鉱物色素(Biochromaeyes®、Neoris®)は粒子径2.5μm未満である2)。動物実験では色素の拡散・炎症・新生血管は認められず、良好な生体適合性が示されている2)。
色素成分はプロパンジオール、微細化鉱物色素(酸化鉄、酸化チタンなど)で構成され、角膜のpHに適合するよう調整されている1)。CE認証を取得した医療機器グレードの色素が使用される。
FLAAKでは内皮細胞密度が術前2393±124 cells/mm²から術後1年で2309±127 cells/mm²に減少し(減少率3.5%)、統計的に有意であった1)。Ferrariらの報告でも1年後に3%の内皮細胞減少が確認されている2)。手術時間の短縮とフェムト秒レーザーによる輪部近傍までのトンネル作製が手動切開の軽減につながり、角膜神経・内皮への損傷を低減できる可能性がある1)。
眼内に浸入したインク粒子は房水中を移動し、水晶体・角膜内皮・線維柱帯をコーティングする。これにより重度の異物反応、ぶどう膜炎、二次性色素緑内障が生じうる3)。インク粒子はマクロファージに貪食され、真皮に沈着した色素が免疫応答を惹起する。遅延型過敏反応としてサルコイドーシス様のぶどう膜炎が報告されている3)。
Alioらは166眼(83例)に対する純粋美容目的のFLAAK研究で、12か月追跡において視力・眼圧・視野に有意な変化がなく、患者満足度84.3%を報告した。重篤な合併症は認められなかった。1)
Balpardaらのレビューでは、FLAAKは「安全で比較的合併症の少ない手技」であり、正常視力眼での術後視力は維持されるとしている。純粋美容目的での患者満足度は約92.5%と報告されている。2)
純粋に眼の色を変える手段として、以下の代替法がある2)。
眼瞼縁へのパーマネントメイクアップ(アイラインタトゥー)は、マイボーム腺の脱落と涙液膜の不安定化を引き起こすことが報告されている3)。アルミニウム-シリケート色素による遅延型過敏反応性肉芽腫の報告もある3)。
純粋美容目的KTPの長期安全性(5年以上)に関するデータはまだ限られている1)2)。特に以下の点について更なる研究が必要である。
現時点では、日本国内で角膜色素注入術(keratopigmentation)を実施している施設はごく限られています。この手技は主に欧州・中東・南米の一部の施設で行われています。日本で施術を希望される場合は、海外の経験豊富な専門施設への紹介を含めて、角膜専門の眼科医にご相談ください。