提供者の確保
献眼登録の推進:生前に眼球提供の意思を登録する制度を推進している
一般啓発活動:移植医療に関する正しい情報を提供し、自由な意思決定を支援する
医療現場での意思確認:故人の提供意思を確認する仕組みづくりが今後の重要課題となる
アイバンクとは、厚生労働大臣の許可のもと、「臓器の移植に関する法律」に基づき、死後に提供された角膜を角膜移植待機患者にあっせんする公的機関である。
その役割は以下の3つに集約される。
提供者の確保
献眼登録の推進:生前に眼球提供の意思を登録する制度を推進している
一般啓発活動:移植医療に関する正しい情報を提供し、自由な意思決定を支援する
医療現場での意思確認:故人の提供意思を確認する仕組みづくりが今後の重要課題となる
安全な角膜の供給
感染症スクリーニング:提供時に血清学的検査を実施し、感染症の持ち込みを防止する
医学基準に基づく管理:提供角膜が安全に移植に用いられるまでの記録と管理を行う
公平・公正な供給
待機患者リスト:アイバンクごとにリストを作成し、原則登録順にあっせんする
緊急・広域あっせん:角膜穿孔など緊急時には所定の手順で優先対応する。自施設で対応できない場合は他県アイバンクへの広域あっせんも可能である
海外では、アメリカアイバンク協会(EBAA)が1961年に設立され、組織の採取・保存・配分の手順を標準化した。EBAAの認定プログラムは米国食品医薬品局(FDA)にも認められている。
各都道府県のアイバンクに献眼登録を行うことで、死後に角膜を提供する意思を表示できます。登録していなくても、ご遺族の同意があれば提供は可能です。大切なのは、提供の意思を生前にご家族と共有しておくことです。日本アイバンク協会のホームページで最寄りのアイバンクを確認できます。
眼球提供者(ドナー)適応基準(2023年12月1日改正)に基づき、以下に該当する場合は使用禁忌となる。
| 禁忌項目 | 具体例 |
|---|---|
| 原因不明の死 | ― |
| 活動性感染症 | 全身性 |
| 血清学的陽性 | HIV, HBV, HCV等 |
| 遅発性ウイルス感染 | CJD, SSPE, PML |
| 悪性腫瘍 | 眼内腫瘍, 白血病等 |
| その他 | SARS |
使用禁忌に該当がなければ年齢制限はない。白内障、緑内障、近視、遠視など眼科既往があっても、角膜が透明であれば提供可能である。
以下に該当する場合は、禁忌ではないが移植医に情報提供する。
ドナー角膜の品質評価において角膜内皮細胞密度の測定は重要である。スペキュラマイクロスコピーで内皮細胞密度を確認する。移植用角膜の最小内皮細胞密度は一般に2200 cells/mm²とされる1)2)。
はい、白内障や緑内障、近視、遠視などの眼科の病気があっても、角膜が透明であれば提供は可能です。年齢制限もありません。使用禁忌に該当する感染症や悪性腫瘍がなければ、多くの方が角膜を提供できます。
死後に提供された眼球は医師が摘出する。摘出にあたっては眼周囲の皮膚を消毒し、ドレープで清潔野を確保する。結膜を輪部に沿って360°切開し、テノン囊を剝離後、直筋を切断して眼球を取り出す。眼瞼や睫毛を損傷しないよう注意する。
クリーンベンチ内で清潔操作を行う。眼球をPA・ヨード希釈液で消毒し、輪部から約5mmの残存結膜を剝離する。輪部に平行に5〜7mm幅で強膜を円形切開し、虹彩・毛様体を除去して強角膜片を得る。角膜内皮を損傷しないよう細心の注意を払う。
強角膜片は保存液(Optisol-GS®)中に4℃で保存される。摘出後可能な限り早期の手術が望ましく、おおよそ10日以内に角膜移植が行われる。
欧州では**臓器培養法(organ culture)**が広く用いられている。34℃で最大4〜5週間の保存が可能であり1)2)、4℃保存液法より長期の保存ができる利点がある。
DSAEKやDMEKなどの角膜内皮移植では、事前にマイクロケラトームやフェムト秒レーザーで加工されたプレカット角膜を使用する場合がある1)。海外アイバンクでは、フリーキャップ済みのプレカット角膜を依頼することも可能である。
日本における角膜移植は「臓器の移植に関する法律(臓器移植法)」に基づいて行われる。あっせんは厚生労働大臣の認可を受けたアイバンクのみが可能であり、眼球と強膜はそれぞれ別にあっせん許可を得る必要がある。
本人が提供しない旨を書面で意思表示している場合を除き、家族の総意として代表者の同意があれば提供が可能である。12歳以上18歳未満の場合は、虐待がないことを証明する委員会の書類が必要となる。
2010年の改正により、以下のすべてを満たす場合に親族への優先提供が可能となった。
ただし、自殺した提供者は親族優先提供の対象外である。
移植術を行った医師は移植記録の原本を5年間保存し、コピーをあっせんアイバンクに報告する義務がある。
日本では長年にわたり慢性的な提供角膜不足が続いている。公益財団法人日本アイバンク協会の統計に含まれない潜在的な待機患者も多い。日本の人口100万人あたりの臓器提供者数は0.88人であり、スペイン(46.9人)、米国(31.96人)、韓国(11.18人)と比較して著しく少ない。
国内の角膜不足を補うため、海外アイバンク(主に米国)からの輸入角膜が広く利用されている。米国のアイバンクからの提供角膜にはドナーの感染症歴・既往歴・角膜内皮細胞数などの詳細情報が添付されている。
角膜移植術は全層角膜移植術(PKP)から角膜内皮移植術(DSAEK)、デスメ膜内皮角膜移植術(DMEK)、深層層状角膜移植術(DALK)など多様化している。これに伴い、プレカット角膜など術式に適した角膜グラフトの供給が求められるが、国内アイバンクの対応は十分とは言えず、ニーズに合った角膜は輸入に大きく依存している。
十分な提供者を確保するとともに、多様化する移植術に適した安全な角膜を供給することが現在のアイバンクの最大の課題である。
臓器提供への社会的関心は高まっていますが、実際に意思表示カードに記載している人は約13%にとどまっています。また、生前の意思がご家族と共有されていない場合、意思が生かされないことがあります。医療現場での意思確認の仕組みづくりや、一般への啓発活動が引き続き重要です。