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角膜・外眼部疾患

青色白内障

青色白内障(cerulean cataract)は、水晶体の核および皮質に散在する青白色の混濁を特徴とする遺伝性の発育性白内障である。「blue dot cataract」とも呼ばれる。核混濁は形状により粉状・クラゲ状・樹枝状などに分類されるが、青色白内障は混濁の色調に基づく分類名である。

常染色体優性遺伝の形式をとる。進行は緩徐であり、成人期になるまで視力に影響を及ぼさないことが多い。しかし一部の患者では早期に視力障害を来し、未治療のまま放置されると弱視や眼振を招く可能性がある。

Down症候群との関連が知られている。Down症候群の小児は先天性・後天性の白内障を発症しうるが、特に青色白内障(アミロイド沈着からなる)の合併が報告されている1)

Q 青色白内障はDown症候群と関連があるか
A

Down症候群の小児では先天性・後天性の白内障を発症することがある。特にアミロイド沈着からなる青色白内障の合併が報告されている1)。Down症候群は円錐角膜(成人の最大15%)との関連も知られており、角膜拡張症と青色白内障が同一患者に併存する症例も報告されている1)

青色白内障の臨床写真
青色白内障の臨床写真
Khan AO, Aldahmesh MA, Alkuraya FS. Founder heterozygous P23T CRYGD mutation associated with cerulean (and coralliform) cataract in 2 Saudi families. Mol Vis. 2009 Jul 24;15:1407-1411. Figure 5. PMCID: PMC2714775. License: CC BY.
水晶体皮質に青白い点状から花弁状の混濁が多数散在し、中央に向かって集まって見える。青色白内障の名称どおりの外観を示す代表的な slit-lamp 写真である。
  • 無症状期:多くの患者は小児期を通じて無症状で経過する
  • 視力低下:成人期に入り徐々に両眼性の視力低下を自覚する
  • 早期発症例:一部では乳幼児期から視力障害を来し、弱視や眼振の原因となる

細隙灯顕微鏡検査で水晶体核の表層に微小な青色または白色の混濁を認める。混濁は胎生核に始まり、核および皮質に散在する。通常は両眼性である。

Down症候群を合併する症例では、Fleischer環や角膜の円錐状突出といった円錐角膜所見を同時に認めることがある1)急性角膜水腫を併発した症例も報告されている1)

先天白内障の形態的分類では、囊白内障・極白内障・核白内障・層間白内障・点状白内障・縫合白内障・完全白内障などがあり、青色白内障は核白内障の亜型に位置づけられる。

青色白内障は常染色体優性遺伝の形式をとる。少なくとも4つの遺伝子座が同定されている。

遺伝子座染色体位置
CCA117q24
CCA222q11.2-q12.2
CCA32q33-q35
CC416q22-q23

原因遺伝子としてβ-B2-クリスタリン遺伝子(CRYBB2)、γ-D-クリスタリン遺伝子(CRYGD)、V-MAF鳥類筋腱膜線維肉腫癌遺伝子ホモログ遺伝子(MAF)、水晶体線維主要内在性タンパク質遺伝子(MIP)における変異が同定されている。

先天白内障全体の病因としては、特発性(30〜50%)が最多であり、遺伝性(常染色体優性が最多)、子宮内感染、代謝異常、染色体異常、眼疾患合併、全身疾患・症候群の合併が知られている。

Q 青色白内障の原因遺伝子にはどのようなものがあるか
A

CRYBB2(β-B2-クリスタリン)、CRYGD(γ-D-クリスタリン)、MAF、MIP(水晶体線維主要内在性タンパク質)の変異が同定されている。これらは水晶体の構造タンパク質や転写因子をコードしており、変異により水晶体の透明性が損なわれる。遺伝子座は17q24、22q11.2-q12.2、2q33-q35、16q22-q23の4領域が知られている。

診断の基本となる検査である。水晶体核の表層に微小な青色または白色の混濁を確認する。出生時またはルーチンの眼科検査で発見される。

他の先天白内障

形態:前極・後極・層間・完全白内障など

鑑別点:混濁の部位・形状・色調が異なる

検査:細隙灯検査、家族歴聴取

発育性白内障

形態:生後に進行する混濁

鑑別点:進行速度や全身合併症の有無

検査:経時的な細隙灯検査

外傷性白内障

形態:外傷に続発する混濁

鑑別点:外傷歴の有無

検査:病歴聴取、前眼部検査

家族歴の聴取が鑑別に重要である。遺伝子検査により原因変異を同定できる場合がある。

青色白内障の形成や進行を予防する治療法は現時点で存在しない。定期的な眼科的評価を行い、視力障害の進行を監視する。

視力低下が進行し日常生活に支障を来した場合、白内障手術(超音波乳化吸引術)と眼内レンズ挿入が適応となる。眼内レンズ挿入眼の視機能は良好であり、手術による視機能改善が確実と判断された場合は積極的に手術を行う。

片眼性の先天白内障で視力障害が高度な場合は早期の手術が必要となる。弱視予防の観点から適切な時期の介入が重要である。重篤な眼合併症や中枢神経系疾患を伴う例では視機能の向上が望めないため、手術適応は慎重に判断する。

Q 青色白内障はいつ手術適応となるか
A

視力低下が進行し、日常生活や視覚発達に支障を来した場合に白内障手術が適応となる。多くの患者では成人期まで視力に影響しないため、それまでは定期的な経過観察で管理される。小児で早期に視力障害を来す場合は弱視予防のために適切な時期の手術介入が重要である。

6. 病態生理学・詳細な発症機序

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青色白内障はクリスタリン遺伝子の変異に起因する。クリスタリンは水晶体の主要構造タンパク質であり、水晶体の透明性と屈折機能の維持に不可欠である。

CRYBB2やCRYGDの変異は水晶体タンパク質の正常な折りたたみを障害する。異常タンパク質の凝集により水晶体の透明性が失われ、特徴的な青白色の混濁を生じる。MAF遺伝子は転写因子をコードしており、水晶体の発生と分化に関与する。MIP遺伝子は水晶体線維の主要膜タンパク質をコードし、水晶体の恒常性維持に寄与する。

Down症候群に合併する青色白内障では、混濁がアミロイド沈着からなることが報告されている1)。Down症候群は円錐角膜との関連も知られており、甲状腺機能低下症の合併が角膜拡張症の進行に寄与する可能性が指摘されている1)


  1. Gurnani B, Kaur K, Narayana S. Corneal ectasia, cerulean (blue dot) cataract with acute hydrops in a child with Down’s syndrome and hypothyroidism – a rare presentation. GMS Ophthalmol Cases. 2023;13:Doc07.

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