PG関連薬の副作用
虹彩色素沈着:メラノソーム数の増加による永久的な色素変化4)5)
眼瞼周囲色素沈着:眼瞼皮膚の色素沈着
結膜充血:最も一般的な副作用の一つ
睫毛変化:多毛症・伸長
眼窩周囲病変(PAPA/DUUS):上眼瞼溝の深化
嚢胞様黄斑浮腫:無水晶体眼・偽水晶体眼で頻度が高い4)5)

緑内障は進行性の視神経症であり、唯一の修正可能なリスク因子は眼圧である1)4)。現在の薬物療法は眼圧下降を目的とする。眼圧は房水産生・線維柱帯網を介した主経路流出・ぶどう膜強膜流出路・上強膜静脈圧により規定される。
緑内障点眼薬は房水産生を抑制するか、房水流出を促進することで眼圧を下降させる1)4)5)。
| 作用機序 | 薬剤クラス |
|---|---|
| 房水産生抑制 | β遮断薬・α作動薬・CAI |
| 流出促進 | PG関連薬・ROCK阻害薬・縮瞳薬 |
眼圧下降作用が強く全身副作用の少ないプロスタグランジン(PG)関連薬が第一選択となることが多い4)5)。効果不十分な場合はβ遮断薬→α作動薬またはCAIの順に追加することが一般的である。
PG関連薬が最も頻繁に処方される第一選択薬である4)5)。眼圧下降効果が最大(25〜33%)であり、1日1回投与で忍容性も良好なためである。禁忌・副作用・コスト・患者の希望などの理由でPG関連薬が使用できない場合は、β遮断薬やα作動薬から治療を開始する。
PG関連薬は主にぶどう膜強膜流出を促進することで眼圧を下降させる2)4)5)。マトリックスメタロプロテアーゼの調節変化を通じて細胞外マトリックスの再構築と流出路の透過性向上が生じる。
代表的薬剤はラタノプロスト・トラボプロスト・ビマトプロスト・タフルプロストである2)4)5)。眼圧を25〜33%下降させ、1日1回投与で24時間効果が持続する。
PG関連薬の副作用
虹彩色素沈着:メラノソーム数の増加による永久的な色素変化4)5)
眼瞼周囲色素沈着:眼瞼皮膚の色素沈着
結膜充血:最も一般的な副作用の一つ
睫毛変化:多毛症・伸長
眼窩周囲病変(PAPA/DUUS):上眼瞼溝の深化
嚢胞様黄斑浮腫:無水晶体眼・偽水晶体眼で頻度が高い4)5)
ラタノプロストエン ブノド
特徴:PGと一酸化窒素(NO)供与体の二重作用を持つ
作用機序:代謝後にNOが線維柱帯網とシュレム管を弛緩させ、主経路からの流出も増加させる
副作用:従来のPG関連薬と同様のプロファイルである
承認:2017年にFDA承認
β遮断薬は毛様体上皮の交感神経末端を抑制し、房水産生を減少させて眼圧を20〜25%下降させる4)5)。
非選択性β遮断薬(チモロール・レボブノロール・メチプラノロール・カルテオロール)と心選択性β遮断薬(ベタキソロール)がある4)5)。チモロールが最も広く使用されている。夜間投与は効果が限定的であり、夜間の血圧低下を介して視野進行に寄与する可能性がある4)5)。
主な全身副作用として気管支痙攣・徐脈・低血圧がある4)5)。喘息・COPD・徐脈・房室ブロックのある患者では使用を避けるべきである4)5)。
α2アドレナリン受容体作動薬には、ブリモニジンとアプラクロニジンがある4)5)。
ブリモニジンは房水産生抑制とぶどう膜強膜流出促進の二重作用で眼圧を20〜25%下降させる4)5)。チモロールと同程度の効果を有する。アレルギー性結膜炎が比較的多く、乳幼児・小児ではCNS抑制作用のため使用を避ける4)5)。
アプラクロニジンは主に周術期の一過性眼圧上昇の予防に使用される。長期使用ではタキフィラキシーが問題となる。
毛様体上皮の炭酸脱水酵素を阻害して房水産生を減少させる4)5)。
点眼CAI(ドルゾラミド・ブリンゾラミド)は眼圧を15〜20%下降させる。経口CAIよりも全身副作用が少ない。1日2〜3回投与である。味覚異常・刺激感が主な副作用である。夜間眼圧への効果が他の薬剤より良好である。
経口CAI(アセタゾラミド)は急性眼圧上昇の短期管理に用いられるが、代謝性アシドーシス・感覚異常・倦怠感などの全身副作用のため長期使用は制限される1)。
毛様体筋の収縮により線維柱帯網を広げ、房水流出を増加させる4)5)。眼圧を15〜25%下降させる。
ピロカルピンが代表的薬剤であり、1日3〜4回投与が必要である。色素緑内障・無水晶体緑内障・プラトー虹彩症候群に特に有用である。レーザー虹彩切開術前の前処置としても使用される。
近視化・縮瞳による暗所視力低下・眉間痛が主な副作用である。網膜剥離・白内障のリスクにも注意が必要である4)5)。
ROCK阻害薬
作用機序:線維柱帯網とシュレム管の細胞骨格を弛緩させ、主経路流出を促進する。房水産生減少・上強膜静脈圧低下も寄与する
リパスジル:2014年に日本で世界初承認。1日2回投与
ネタルスジル:2017年に米国で承認。1日1回投与。チモロールと同等の眼圧下降を示すがラタノプロストには劣る
主な副作用:結膜充血(軽度・短期間)、角膜輪状混濁(Verticillata)
配合剤
ドルゾラミド/チモロール:最も広く使用される配合剤。1日2回投与
ブリモニジン/チモロール:各単剤より大きな眼圧下降。1日2回投与
ブリンゾラミド/ブリモニジン:チモロール非含有配合剤。1日2回投与
ネタルスジル/ラタノプロスト:ROCK阻害薬+PG配合。1日1回投与。各単剤より優れた眼圧下降
ROCK阻害薬は線維柱帯網とシュレム管を介した主経路流出を促進する新しいクラスの緑内障治療薬である。日本ではリパスジルが2014年に世界で最初に承認された。ネタルスジル/ラタノプロスト配合剤も開発されている。現時点では第一選択薬ではなく、他の薬剤の追加薬として使用されることが多い。神経保護効果や濾過手術後の瘢痕化抑制効果も動物モデルで示されており、今後の応用が期待される。
配合剤の最大のメリットはアドヒアランスの向上である。点眼回数と薬剤数の減少により患者の負担が軽減される。また逐次点眼による「洗い流し効果」が排除されるため、別々に投与するより良好な眼圧制御が得られる場合がある。一方でコストが高い場合や、個別の薬剤の用量調整が困難な点はデメリットである。
眼圧は房水産生と房水流出のバランスで決定される1)2)3)。房水は毛様体無色素上皮から産生され、主に2つの経路で流出する。
主経路(線維柱帯流出路)では房水が線維柱帯網→シュレム管→集合管→上強膜静脈を経て排出される1)2)3)。副経路(ぶどう膜強膜流出路)では房水が毛様体筋の間隙を通って脈絡膜上腔へ流出する。
各薬剤クラスはこれらの流出路または房水産生に作用する。PG関連薬は主に副経路を促進し、ROCK阻害薬は主経路を促進する。β遮断薬・α作動薬・CAIは房水産生を抑制する2)3)4)5)。縮瞳薬は毛様体筋を収縮させて線維柱帯網を機械的に開大し、主経路流出を促進する。
ROCK阻害薬は2014年以降臨床に導入された最新の薬剤クラスである。眼圧下降効果に加えて、視神経乳頭血流の増加を介した神経保護効果が動物モデルで示されている。またTGF-βの抑制を通じて線維芽細胞の増殖と筋線維芽細胞への分化を抑制するため、緑内障濾過手術後の瘢痕化を抑制する可能性がある。角膜内皮疾患への応用も研究されている。
ネタルスジル/ラタノプロスト配合剤は主経路と副経路の両方に作用する新しい配合剤であり、各単剤より優れた眼圧下降能を示している。
LiGHT試験の結果を受けて、レーザー線維柱帯形成術(選択的レーザー線維柱帯形成術)が点眼薬と同等の眼圧下降効果を示し費用対効果に優れることが確認された2)。EGS・AAOのガイドラインではレーザー線維柱帯形成術が一次治療として推奨されている2)3)4)。薬物療法のアドヒアランスが問題となる患者ではレーザー線維柱帯形成術が理想的な選択肢となる。
緑内障点眼薬に含まれる防腐剤(特に塩化ベンザルコニウム)は、長期使用により眼表面の炎症・角膜上皮障害・ドライアイを引き起こすことがある1)。防腐剤フリー製剤はこれらの副作用を軽減し、特に複数の点眼薬を長期使用する患者において眼表面の健康維持に有用である。また将来の緑内障手術の成功率にも影響するため、眼表面の維持は重要である。
- 日本緑内障学会. 緑内障診療ガイドライン(第5版). 日眼会誌. 2022;126:85-177.
- European Glaucoma Society. Terminology and Guidelines for Glaucoma, 5th Edition. 2020.
- European Glaucoma Society. Terminology and Guidelines for Glaucoma, 6th Edition. Br J Ophthalmol. 2025.
- American Academy of Ophthalmology. Primary Open-Angle Glaucoma Preferred Practice Pattern®. 2020.
- American Academy of Ophthalmology. Primary Open-Angle Glaucoma Suspect Preferred Practice Pattern®. 2020.