表層角膜切除術(SK)
適応:浅層に限局した病変に対する第一選択。
補助療法:マイトマイシンC(MMC)0.02%を1分間塗布する併用が報告されている。
成績:2例の二次性ケロイドに対しSK + MMC施行後、6ヶ月間再発なし1)。術後7日で視力20/20および20/25に改善した1)。

角膜ケロイド(corneal keloid)は、角膜表面に生じる良性の真珠様灰白色隆起性病変である。線維組織の異常増殖と、無秩序なコラーゲン細線維および糖タンパク質の蓄積を特徴とする。角膜上皮の過形成とBowman層の破壊を伴う。
1865年にSzokalskiが初めて報告した2)。以来、文献に記録された症例は100例未満であり、角膜疾患のなかでもきわめて稀である。
男性に発生率が高い傾向がある1)2)。皮膚ケロイドとは異なり、人種的な発生率の差は示されていない。
角膜ケロイドと皮膚ケロイドの間に直接的な関連は確立されていません。Rubinstein-Taybi症候群を除き、皮膚ケロイドの既往がある方でも角膜ケロイドが発症するリスクが高まるという証拠はありません。実際に、皮膚ケロイド体質の方に対するLASIK手術後の長期追跡でも、角膜ケロイドの発症は報告されていません。
69歳男性で沸騰した植物油による角膜熱傷の1年後に、下方角膜に真珠様白色隆起性病変と数本の実質内新生血管を認めた1)。
DSAEK後2年で中央角膜に巨大ケロイドを生じた35歳男性の報告では、UBMで表面から浅層実質に及ぶ厚さ1,300 μmの高輝度病変が描出された2)。
病変が大きい場合、眼瞼閉鎖を妨げて露出性角膜症を引き起こすことがある。また、角膜の大部分を覆うため眼圧測定や眼底検査が困難となる場合がある。
眼外傷や角膜手術がケロイド形成のトリガーとなる。
翼状片手術30年後・白内障手術3年後にケロイドが発生した報告もあり、受傷から発症までの期間は数ヶ月〜数十年と幅広い1)。
過去の眼外傷や全身疾患がなくても角膜ケロイドは発症しうる。光沢のある灰白色隆起性角膜腫瘤の鑑別からケロイドを安易に除外してはならない。
角膜ケロイドの発症を確実に予防する方法は確立されていません。ただし、角膜外傷や手術後の適切な創傷管理が重要です。角膜ケロイドの再発予防としてマイトマイシンCやトラニラスト点眼の使用が報告されていますが、完全に再発を防ぐことはできません。定期的な経過観察が推奨されます。
角膜ケロイドの確定診断は病理組織学的検査で行われる。臨床的にケロイドが疑われれば、診断と治療を兼ねた外科的切除を行い、その切除標本を組織学的に評価するのが標準的なアプローチである。
H&E染色および周辺虹彩前癒着染色で以下の所見を確認する1)2)。
Masson trichrome染色は実質内の不規則コラーゲン束を強調するのに有用である2)。Congo red染色陰性によりアミロイドーシスを除外する2)。
| 疾患 | 鑑別のポイント |
|---|---|
| 肥厚性角膜瘢痕 | 外傷範囲内に限局、直後に出現 |
| 角膜封入嚢胞 | 無細胞性エオジン好性物質 |
| Salzmann結節変性 | 境界明瞭な半透明隆起 |
その他の鑑別に含めるべき疾患:角膜デルモイド、Peter異常、先天性遺伝性角膜内皮変性症(CHED)、扁平上皮癌、若年性黄色肉芽腫、線維性組織球腫がある。
小さく無症状の病変に対しては経過観察が行われる。外科的切除による角膜損傷がケロイドを悪化させるリスクがあるため、手術は視軸が著しく損なわれた場合に限定すべきとされている。ステロイド単独の薬物療法では病変の退縮は得られない。
表層角膜切除術(SK)
適応:浅層に限局した病変に対する第一選択。
補助療法:マイトマイシンC(MMC)0.02%を1分間塗布する併用が報告されている。
成績:2例の二次性ケロイドに対しSK + MMC施行後、6ヶ月間再発なし1)。術後7日で視力20/20および20/25に改善した1)。
角膜移植術
再発は角膜ケロイド治療における最大の課題である。SK、PTK、PKP後のいずれでも再発が報告されている。
DSAEK後に発生した巨大角膜ケロイドに対してSKを施行したが、残存する線維化と内皮機能不全のため3ヶ月後にPKPが必要となった2)。
表層角膜切除術(SK)やマイトマイシンCの併用により視力改善が得られた報告があり、6ヶ月間再発がなかった症例もあります。しかし、ケロイドは再発しやすい疾患であり、術後長期間の経過観察が必要です。病変の深さや範囲によっては角膜移植が必要になることもあります。担当医とよく相談して治療方針を決定してください。
角膜ケロイドの正確な発症機序は依然として不明であるが、角膜実質細胞が線維芽細胞・筋線維芽細胞へ形質転換し過剰増殖するメカニズムが有力視されている。
現代のデータは、損傷した角膜上皮から放出されるサイトカインが正常な角膜修復を妨げ、線維血管性の過剰増殖を引き起こすとする説を支持している。角膜穿孔を伴わない症例や虹彩の関与がない症例でもケロイドが形成されることが根拠となっている。
翼状片手術後および沸騰油による角膜外傷後の2例で、残存する線維芽細胞の過剰活性化がケロイド形成につながったと推察されている1)。DSAEK後の症例でも、移植手術とチューブ弁の再配置による線維芽細胞の活性化が原因と推測されている2)。
病理所見はケロイドの段階により異なる。
Sharifiら(2024)は、沸騰油による角膜熱傷後および翼状片手術後にそれぞれ角膜ケロイドを発症した2例に対し、SK + MMC 0.02%(1分間)を施行した1)。術後7日で視力はそれぞれ20/20、20/25に改善し、6ヶ月間再発を認めなかった1)。
Vera-Duarteら(2024)は、外傷後のAhmed緑内障バルブ挿入→内皮機能不全→DSAEK施行の経過をたどった35歳男性で、DSAEK後2年に巨大角膜ケロイドが出現した症例を報告した2)。これは角膜内皮移植後のケロイド発症として初報告である2)。UBMで1,300 μm厚の病変を確認し、SKを施行したが内皮機能不全が残存したため3ヶ月後にPKPを追加した2)。
これらの報告は、角膜ケロイドがあらゆる種類の眼科手術後に出現しうること、そして長期的な追跡の重要性を示している。
- Sharifi A, Mirshekari TR, Azh M, Sadeghi H, Akbari Z, Zand A. Secondary corneal keloid: a report of two cases. Oxford Med Case Rep. 2024;2024(9):omae105.
- Vera-Duarte GR, Eskenazi-Betech R, Garcia-Padilla LA, et al. Giant corneal keloid following Descemet stripping automated endothelial keratoplasty for the treatment of corneal decompensation secondary to trauma. BMC Ophthalmol. 2024;24(1):404.