ダイヤモンドバー
手技:3.3mmダイヤモンドバーで約30秒間研磨する。
術後管理:バンデージCL+抗菌薬・ステロイド点眼を3〜4週間継続。
成績:31か月時点で約95%の有効率。再発率は約9%。

前部実質穿刺術(Anterior Stromal Puncture; ASP)は、再発性角膜上皮びらん(recurrent corneal erosion; RCE)に対する外科的治療法である。1986年にMcLeanにより20ゲージ針を用いた手技として報告された。
原理は、注射針によるBowman膜から浅層実質への穿刺創が局所的な線維芽細胞反応を惹起し、係留線維(anchoring fibril)の産生を促進して上皮と基底膜の接着構造を再構築することにある。
適応は保存的治療が無効な再発性角膜上皮びらんであり、糖尿病角膜症にも使用されることがある。細隙灯顕微鏡下に施行可能な比較的簡便な手技であるが、穿刺部位は永続的な点状混濁を残すため、瞳孔領には施行できない。
注射針でBowman膜から浅層実質を穿刺すると、穿刺創に線維芽細胞反応が生じる。この反応により係留線維の産生が促進され、角膜上皮と基底膜の接着構造が再構築される。
再発性角膜上皮びらん(RCE)は、角膜上皮と基底膜の接着異常を特徴とする疾患である。典型的には以下の症状を呈する。
初回のびらんから数週間〜数か月後に再発することが特徴的である。
RCEの原因は大きく2つに分類される。
RCEに関連する角膜ジストロフィには以下がある。
第一段階として就寝前の眼軟膏点入と起床時の人工涙液を3〜6か月間継続する。無効の場合はバンデージコンタクトレンズの連続装用を試みる。これらの保存的治療が奏効しない難治例に前部実質穿刺術などの外科的治療が適応となる。
RCEに対する段階的治療方針は以下の通りである。
手技の具体的な手順を以下に示す。
穿刺部位は永続的な点状混濁を残すため、瞳孔領への施行は禁忌である。瞳孔領のRCEには表層角膜切除術(superficial keratectomy)や治療的レーザー角膜切除術(PTK)を選択する。
針穿刺の代替としてNd:YAGレーザーによる角膜実質穿刺が報告されている。
ダイヤモンドバー
手技:3.3mmダイヤモンドバーで約30秒間研磨する。
術後管理:バンデージCL+抗菌薬・ステロイド点眼を3〜4週間継続。
成績:31か月時点で約95%の有効率。再発率は約9%。
治療的レーザー角膜切除術
手技:エキシマレーザーによる治療的光線角膜切除術。
適応:瞳孔領を含むRCEにも施行可能。
成績:約90%の有効率。再発率は約10%。遠視化のリスクがある。
表層角膜切除術
手技:弛緩した上皮と異常な基底膜を機械的に除去する。
併用:治療的レーザー角膜切除術やダイヤモンドバー研磨と組み合わせることが多い。
適応:瞳孔領のびらんに対する第一選択。
瞳孔領への前部実質穿刺術は点状混濁を残すため禁忌である。瞳孔領のRCEには表層角膜切除術を第一選択とし、エキシマレーザーによる治療的レーザー角膜切除術やダイヤモンドバー研磨を併用する。
各手技の治療成績を以下に示す。
| 手技 | 有効率 | 再発率 |
|---|---|---|
| 穿刺針/レーザーASP | 約85% | 約30% |
| 治療的レーザー角膜切除術 | 約90% | 約10% |
| ダイヤモンドバー | 約95% | 約9% |
複数回の再発を繰り返す難治例では、ドキシサイクリン50mg経口投与が補助療法として報告されている。マトリックスメタロプロテアーゼの阻害を介して基底膜分解を抑制する機序が考えられている。
ASP後の再発には再度のASPまたはPTK、ダイヤモンドバー研磨への変更が選択肢となる。複数回再発する難治例ではドキシサイクリン50mg経口投与が補助療法として報告されている。