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ロービジョン患者が利用できる日本の支援制度

ロービジョン支援制度とは、見えにくさが残る人に対し、医療、福祉、教育、就労、情報支援をつなぐ仕組みの総称である。治療だけで生活上の困難が解決しない場合、残存視機能を活かす支援や、社会資源への接続が重要になる2)

日本眼科医会は、ロービジョンに至った人が日常生活を続け、将来設計を行うには、疾患治療と並行して生活訓練、技能習得、就労支援が必要と整理している2)

Q スマートサイトとは何か?
A

ロービジョン患者が悩みに応じた適切な指導や訓練を受けられるよう、相談先を紹介するための地域連携リーフレットのひな形である1)。眼科から地域の支援機関へつなぐ入口として使われる。

相談先

医療:ロービジョンクリニック、眼科医療機関。

地域支援:視覚障害センター、障害者自立支援センター、特別支援学校など。

連携導線:スマートサイトが相談先の整理に使われる1)

用具

代表例:拡大読書器、情報・意思疎通支援用具。

考え方:障害種別や等級、世帯状況により対象が変わる5)

手続き:多くは購入前の事前申請が必要である5)

情報支援

読書支援:点字図書、録音図書、デイジー。

人的支援:対面朗読、相談支援。

施設例:図書館、点字図書館、ライトセンター等3)4)6)

支援制度を大きく分けると次の通りである。

支援代表例相談先例
地域連携スマートサイト眼科
用具支援拡大読書器自治体
情報支援点字・デイジー図書館等

支援制度の相談前には、次の整理が役立つ。

  • 困りごとの種類:読書、移動、就労、書類記入、情報取得のどれが主か。
  • 医療面の状況:病名、視力、視野、進行性かどうか。
  • 手帳の有無:身体障害者手帳が必要な制度と、なくても相談できる支援がある。
  • 生活場面:自宅、学校、職場、公共交通利用など、困る場面を具体化する。
  • 地域資源:自治体の窓口と、地域のロービジョンネットワークを確認する。

横浜市の案内では、日常生活用具は「日常生活を円滑に過ごすために必要な用具」を給付する制度とされ、原則1割負担、事前申請が必要とされている5)。情報・意思疎通支援用具の例として、拡大読書器が挙げられている5)

横浜市の情報支援案内では、市立図書館全18館で録音・点字資料等の貸出と対面朗読を実施し、中央図書館ではオンライン対面朗読も実施している4)。また、点字郵便物の郵便料金免除、広報の点字版・録音版・デイジー版提供もある4)

大阪市立早川福祉会館点字図書室では、点字図書・録音図書の製作と貸出、対面読書、読書相談、全国の点字図書館からの取り寄せ等を行っている6)。貸出は無料で、第四種郵便物扱いにより往復送料が無料となる案内もある6)

厚労省の読書支援フォトレポートでは、全国の点字図書館で点字図書や音訳図書の製作・貸出支援が行われていること、サピエが点字やデイジーデータの情報提供ネットワークであることが紹介されている3)

Q 拡大読書器はどこに相談するのか?
A

自治体の日常生活用具窓口が入口となることが多い5)。実際の適合や必要性の整理は、眼科やロービジョン外来で相談できると動きやすい。

現実的な流れは次の通りである。

手順内容相談先
1困りごと整理本人・家族
2眼科相談眼科
3地域紹介スマートサイト等
4制度申請自治体
5継続支援福祉・教育等

日本眼科医会は、スマートサイト整備の次の目標として、すべての眼科医が日常診療で提供できるシンプルなロービジョンケア、すなわちクイック・ロービジョンケアを位置づけている2)。眼科から支援へつなぐ発想が重要である。

Q 手帳がなくても相談できるか?
A

できる支援はある。大阪市の点字図書室案内でも、手帳がない人や活字利用が難しい人は相談できるとされている6)。一方、日常生活用具のように手帳や等級が要件となる制度もある5)

日本眼科医会の資料では、2011年にロービジョンネットワーク検討会を設置し、2021年までに47都道府県でスマートサイトリーフレットの作成が完了したと整理されている2)。現在は県境を超えた福祉連携にも活用されている2)

同資料では、ロービジョンケアを眼科プライマリケアの一環と位置づけ、治療が思うように進まず不安を抱える患者に対し、早い段階で支援へつなぐ重要性を強調している2)

また、スマートサイト関連情報ページでは、相談可能施設として、地域のロービジョンクリニック、視覚障害センター、特別支援学校、障害者自立支援センターなどを記載して患者に渡す使い方が示されている1)

ロービジョン支援制度は、全国共通の考え方と地域差のある実務が混在する。

  • 全国的な枠組み:スマートサイト、読書支援、情報支援の考え方1)2)3)
  • 自治体差の大きい部分:窓口名、給付品目、負担額、対象要件4)5)
  • 地域施設差:図書館、ライトセンター、就労支援、学校との連携方法4)6)
Q ロービジョン支援は全国どこでも同じか?
A

同じではない。支援の考え方は共通でも、具体的な相談先、配布資料、給付品目、施設名は地域ごとに異なる1)5)。地域版スマートサイトや自治体案内の確認が必要である。

  1. 日本眼科医会. スマートサイト関連情報 [Internet]. Available from: https://www.gankaikai.or.jp/info/detail/SmartSight.html

  2. 日本眼科医会. 日本眼科医会が取り組むロービジョンケア. 日本の眼科. 2023;94(11).

  3. 厚生労働省. 視覚障害のある方に対する読書支援の現場視察 [Internet]. Available from: https://www.mhlw.go.jp/stf/photo/2020/10/ph1013-01.html

  4. 横浜市. 視覚に障害のある方への情報伝達支援 [Internet]. Available from: https://www.city.yokohama.lg.jp/kenko-iryo-fukushi/fukushi-kaigo/fukushi/kankobutsu/pdf/annai10.files/0308_20250521.pdf

  5. 横浜市. 利用者向けページ(日常生活用具) [Internet]. Available from: https://www.city.yokohama.lg.jp/kenko-iryo-fukushi/fukushi-kaigo/fukushi/annai/yogu/nichijo-yogu/20220627094244845.html

  6. 大阪市. 大阪市立早川福祉会館点字図書室 [Internet]. Available from: https://www.city.osaka.lg.jp/fukushi/page/0000596433.html